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腰のコルセットについて

こんにちは、望クリニック副院長・AKA‐博田法指導医の住田憲祐です。

今回は、日々の診療で受けるご質問、「腰痛にコルセットはした方がいいの?」についてお話致します。

腰痛患者さんのなかには有効な治療法に出会えないまま、対症療法としてコルセットを使っている方は少なくありません。
問題は慢性的に腰痛を患っていて、コルセットを手放せなくなっている方です。

コルセットに対する考え方も、一般的な整形外科とAKA-博田法では異なることがあるためご注意下さい。

 コルセットとは? 
腰のコルセットのことを、正式には腰部固定帯といいます。

一般的には腰のサポーターとして知られています。
腰に巻くことで腹圧を上げ、脊柱や椎間板への負担を減らします。
これにより、痛む部位を安静に保ち、鎮痛を目的とします。
また、装着することで動きを制限し、痛みを起こさないようにします。

 どういう方が使っているの? 
一般的には、急性、慢性に関わらず腰痛の方に使用します。

特にギックリ腰などで痛みが強い場合や、慢性腰痛でも、コルセットをすると楽になる場合がそうです。
なかには、以前腰痛になって以降、なんとなく外せずに着用している方もいらっしゃいます。
当初は医師の勧めで使い始め、年月が経つと、ほとんどの方は自己判断で使っているようです。

 コルセットはいつになったら外すの? 
一般的には痛みの状況により判断します。
痛みが緩和してきたら、限定的な使用に変えていき、痛くなくなれば各自の判断で外していきます。

 治療期間中にコルセットは必要? 
ここからはAKA-博田法の視点を交えてお答えします。
整形外科において、コルセットが勧められる腰痛の多くは仙腸関節の機能障害が原因です。

この場合、コルセットをすることなく、『治療+安静』で治すのが良いでしょう。
しかし、痛みが強く、コルセットをしないと日常生活に支障を来す場合は、使用もやむをえないと考えています。


私がコルセットの使用を積極的勧めないのは、コルセットをして痛みが緩和しても、痛みの震源地である仙腸関節は治っていないためです。
また、コルセットをして痛みが緩和すると、活動量が増えて安静ではなくなります。
これにより、仙腸関節への負担は増し、かえって痛みが長引いてしまうこともあります。

 コルセットだけでは不十分! 
コルセットをしていても慢性的に痛むのは、しっかり治療していないからです。
コルセットを勧められるような腰痛の多くは仙腸関節の機能障害が原因です。

対症療法でその場しのぎを続けるのではなく、まずはこれを治療すると良いでしょう。

 コルセットは予防として有効か? 
予防としての意味はないと考えます。
仙腸関節の機能障害による腰痛の場合、予防として有効なのは、仙腸関節の機能障害を防ぐものです。
しかし、コルセットにその様な機能はないためです。

 筋力低下は起こる? 
一般的に長期間使用すると、筋力低下をもたらすと言われているようですが、必ずしもそうとは言えません。
 

以上が日々の診療でよく聞かれるものです。

さらにご質問があれば次回の受診時にお尋ねください!

仙腸関節の体操、仙腸関節のストレッチを勧める整形外科や整体院があるけど、それってどうなの?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は体操やストレッチのなかでも特に、「仙腸関節の体操」や「仙腸関節のストレッチ」についてお話し致します。

最近、整形外科でも腰痛の原因として、仙腸関節の異常が少しずつ注目されています。

仙腸関節が原因と考えれば、それに対する治療法や体操が出てくるのは当然です。

しかし、同じ仙腸関節の治療でも、仙腸関節の何を治療するのか?が重要です。

AKA-博田法の場合、治療対象は仙腸関節の機能障害です。

関節は互いの骨が接する部分を関節面といいます。そして、この関節面は関節包という袋に包まれています。

関節包内運動とは、この関節包の中で起こる微細な動きのことです。

関節機能障害とは、この関節包内運動が滑らかでない状態のことをいいます。

何故、関節機能障害を治療する必要があるかというと、これが起こると、筋肉の異常な緊張が起こり痛みやシビレを発症するからです。

治療は、ひとつひとつの骨に直接触れて行います。

           

仙腸関節のわずか1~3ミリの微細な動き(関節包内運動)を感じて滑らかに動くようにします。

つまり、仙腸関節周辺を動かせば良いのではなく、仙腸関節の機能障害を治療する(=関節包内運動を良くする)ことが大切なのです。

それゆえ、治療には熟練の手技が必要です。

他方で、異なる仙腸関節のアプローチもあります。

例えば、このブログのタイトルである、仙腸関節の体操や仙腸関節のストレッチといわれるものです。

他にも、仰向けに寝た状態で仙腸関節の下にボールの様な物を入れて動かす方法や、ズレを治すという方法もあるようです。

やり方は様々ですが、結果的には仙腸関節周辺や腰回りの筋肉の緊張が緩み、痛みが楽になるのでしょう。

これにより良くなっていれば、さらに治療する必要はありません。

しかし、良くなっていない方や、再発を繰り返す方は、要注意です。

体操やストレッチで仙腸関節周囲の筋肉が緩むことはあっても、仙腸関節の機能障害(=包内運動の異常)を治療することは難しいからです。

例えば、

仙腸関節の体操やストレッチをして腰痛が良くなったという方はいらっしゃるでしょう。

これは、体操等で腰周りの筋肉が緩んだことによる可能性があります。

その一方で、腰が痛くなかった方が腰痛になったり、元々の痛みが増すこともあります。

これは、仙腸関節に無理が加わり、肝心の機能障害が悪化したためと予想できます。

この様に、効果はまちまちで、仙腸関節にアプローチ出来たとしても、治療としては十分とは言えません。

とくに仙腸関節に炎症がある方が行うと、痛みが悪化する可能性は増します。

同じ仙腸関節へ働きかけると言っても、AKA-博田法とは全く別のことをしているケースが多いのです。

腰痛がなかなか良くならず、仙腸関節が原因かなと?感じたら、機能障害の治療は重要な選択肢の1つといえるでしょう。

最後に、関節機能障害の視点からみた体操をオススメします。

                  前後屈体操 

立位で軽く前後に身体を曲げ伸ばしします。

一見すると何をしているか分からないような体操ですが、この運動に伴い仙腸関節の包内運動が起こります。

前に深く曲げたり、後ろに反らせ過ぎると、かえって包内運動を悪化させる(関節機能障害を生じる)可能性があるため、軽く行うのがポイントです。

この体操は、AKA-博田法で治療したうえで行うと、比較的仙腸関節の包内運動を保ち機能障害を防ぐことができます。

簡単な体操なので、こまめに行ってみてください。

まとめ

・仙腸関節の体操やストレッチでは、仙腸関節周囲や腰周りの筋肉が緩み、痛みが緩和することがあります。

・仙腸関節の体操やトレッチは、仙腸関節の機能障害の治療にはなりません。

・仙腸関節の体操やストレッチ自体が仙腸関節への負担となり、痛みの原因になることもあります。

・仙腸関節の包内運動を保つ(=機能障害を防ぐ)体操としては、前後屈体操がお勧めです。

腰痛とストレッチ体操について ストレッチ体操で仙腸関節の動きはよくなりません

こんにちは、望クリニック副院長 AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は腰痛とストレッチ体操についてお話し致します。

高齢になるに従い、からだは硬くなっていきます。

患者さんからは、

「硬くなったらストレッチをしたほうがいいの?」

というご質問を受けることがあります。

私は、「ストレッチ体操で安全にからだを柔らかくすることは難しいです。痛い時は治療を優先する時期なので、ストレッチ体操は控えて安静にして下さい。そして、良くなったら無理のない範囲で行うのは結構です」とお答えしています。

つまり、痛い時は治療を優先し、ストレッチ体操はお休みして頂きます。痛みが良くなっても積極的にはオススメしていません。

例えば、腰痛は腰周りの筋肉が硬くなっている状態を痛みと感じていることがあります。そのため、ストレッチ体操をすると、腰回りの筋肉が緩んで痛みが楽に感じたり、腰の曲げ伸ばしが良くなったりして身体を柔らかく感じることがあります。

これを患者さんは関節が柔らかくなったと感じるのでしょう。

ストレッチ体操は筋肉を緩める1つの手段であり、それにより痛みがなく元気が保てていれば良いでしょう。

問題はそれでは良くならない腰痛です。

この場合、ストレッチ体操を続けることに疑問があります。

また、身体が硬いことと関節の動きが悪い事は、必ずしも一致している訳ではありません。例えば、身体は柔らかいのに仙腸関節の動きは悪く、固まってしまっていることもあるので注意が必要です。

ストレッチで柔らかくなるのは主に関節の周りの筋肉です。動きの範囲が広がったり柔らかくなった感じがしても、関節の動きそのものは良くなっていないこともあります。

では、関節の動きをよくするにはどうしたら良いのでしょう?

例えば病院のリハビリを思い出して下さい。怪我等で硬くなった関節の動きをよくする運動を、リハビリの先生にやってもらったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

関節の動きをよくするには、他の人の手により行う方が望ましいです。

自分で行う運動や体操は、安全性や有効性に疑問があるからです。

望クリニックでは、関節の動きをよくする手段として、AKA-博田法を取り入れています。

AKA-博田法とは、1つ1つの骨に触れて関節の中の動きを滑らかにする治療方法です。

関節が動作に伴い動く時、その中で起こる動きを関節包内運動といいます。

関節包内運動が滑らかでない(動きの悪い)状態を関節機能障害といいます。

関節機能障害は全身の関節に起こり得ますが、なかでも骨盤にある仙腸関節の機能障害は、腰痛の原因の1つとして知られています。

私が患者さんにストレッチ体操を積極的に勧めない理由は、ストレッチ体操自体が仙腸関節の機能障害を起こし、腰痛を発症することがあるためです。

特にストレッチ体操を続けていてもなかなか良くならなかったり、腰痛を繰り返す場合は、すでに仙腸関節に機能障害を起こしている可能性があります。

例えば、長年の腰痛に苦しんでいるバレリーナの患者さんは、身体は非常に柔らかいのですが、仙腸関節の動きは悪く、とても硬くなっていました。つまり、ストレッチ体操をしても仙腸関節は柔らかくなっていなかったのです。

このように、ストレッチ体操は

腰痛の治療という点でオススメできません。先ずは痛みをしっかりと治療すると良いでしょう。

※仙腸関節体操、仙腸関節に対するストレッチを勧める整形外科や整体院があるけど、それってどうなの?と思う方もいらっしゃると思います。これについては、また別の機会に書こうと思います。

まとめ

・ストレッチ体操は腰痛の治療ではなく、痛くない方がリラックスや心身の健やかさを保つために無理のない範囲で行うのはよいでしょう。

・ストレッチ体操で柔らかくなるのは主に筋肉で、腰痛の原因となる仙腸関節の動きそのものは柔らかくなりません。

・ストレッチ体操をしても腰痛を繰り返す方は、AKA-博田法で仙腸関節を治療してみるとよいでしょう。

腰が痛くても、筋力トレーニングはした方がいい?

こんにちは、望クリニック、AKA-博田法指導医住田憲祐です。

日々、診療していると、腰痛が腹筋や背筋、体幹の筋肉を鍛える筋力トレーニングで改善すると考える患者さんが多い事がわかります。

しかし、腰痛に対して一生けん命に筋力トレーニングしているのに改善しないどころか悪化してしまったという方も少なくありません

なぜそのような事が起こるのでしょうか。今回は、腰痛と筋力トレーニングの関係について、腰痛が改善しない理由を関節包内運動の見地からお話ししようと思います。

テレビの健康番組でも、腰痛に対して筋肉を鍛えることを勧めることがあります。

専門家である整形外科医が勧める事もあり、患者さんがその様に考えることは当然だと思います。筋力トレーニングを勧める理由は、主に2つです。

腹筋と背筋のバランスが悪くなると腰椎の湾曲が強くなり、腰にかかる負担が大きくなる。

また、腹筋背筋の筋力が低下すると腰にかかる負担が大きくなるという考えです。

現に、筋力トレーニングをすると腰痛が軽減することもあります。軽症の方で、良くなってしまえばそれで良いのかもしれません。

しかし、筋力トレーニングをしても良くなっていかない方はどうすればよいのでしょうか。痛くても無理をして腹筋、背筋をするのが本当によいのでしょうか

腰痛に良いとされる腹筋、背筋体操などの筋力トレーニングをすると、筋肉は動かしたことで、一時的に緩みほぐれた状態になります。

軽症で腰回りの筋肉が硬く緊張している状態を腰の痛みとして感じている方は、腹筋背筋に限らず運動をする位でも腰痛が和らぐことがあるようです。

しかし、筋力トレーニングをしてもなかなか痛みが引かない方や、かえって痛みがつよくなってしまったという方の場合は、そう簡単にはいきません。腰回りの筋肉の異常な緊張を引き起こす原因をきちんと見極める必要があります

私が専門で行なっているAKA-博田法では、筋肉の緊張を引き起こす原因は、骨盤にある仙腸関節の関節内部の動きが悪くなっている事だと考えています。

仙腸関節は骨盤の真ん中にあり、体を動かすときに負担がかかりやすい関節です。

腹筋や背筋等の筋力トレーニングは、仙腸関節に負担をかけ、関節に炎症を引き起こしてしまい、仙腸関節の関節内部の動きを悪くしてしまう事があるようです。

通常、このような現象は、仙腸関節に異常がない方であれば、腹筋、背筋等の筋力トレーニングや運動をしてもこのような事はめったに起こりません。

注意が必要なのは、仙腸関節の関節内部の動きが悪くなっている方です。その場合、一生懸命に腰痛を治そうと腹筋や背筋などの筋力トレーニングや運動をやればやるほど仙腸関節の炎症が強くなり、腰の痛みが強くなっていく傾向にあるようです

仙腸関節の関節内部の動きが悪くなっている状態を関節の機能障害と言います。

仙腸関節の機能障害が腰痛の原因である場合、治療は仙腸関節の関節機能障害の治療が最優先になります。治療方法は、私はAKA-博田法を使っています。筋力トレーニングは仙腸関節の関節機能障害が改善した後、患者さんの状態をみて必要であれば、お勧めします。

まとめ

腹筋や背筋などの筋力トレーニングをしているのにかえって、腰痛が悪化しているという場合、筋肉の異常な緊張を引き起こす原因として仙腸関節の機能障害が関係している事があります。

仙腸関節の機能障害が腰痛の原因の場合、治療は仙腸関節の治療をすることが、筋力トレーニングよりも優先になります。

筋力トレーニングは仙腸関節に負担をかけてしまう為、AKA-博田法等で仙腸関節の関節機能障害がよくなってから必要に応じてする事がおすすめです。

肩こりについて 動画投稿しました。

肩こりについて動画作成致しました。

動画の内容は、肩こりが起こる原因と治療法について

何故、頑固な肩こりが、マッサージを受けても整形外科で筋肉をやわらかくする薬を処方されてもよくならないのか。

治療はAKA-博田法にかぎらず、整形外科的な薬物療法やマッサージ、ストレッチ等の民間療法について、私の考えを簡単ですがまとめています。

慣れない在宅ワーク等により、肩こりでお困りの方が増えているそうです。

参考にして頂ければ幸いです。

手術といわれた椎間板ヘルニアの痛みやしびれが、なぜ手術をしない治療法で治ることがあるのか?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

整形外科で椎間板ヘルニアと診断され手術を勧められた方が、できれば手術をせずに治したいと考えるのは当然です。

その手段として整体、腰痛体操、ストレッチ、健康器具等、色々な治療法を探し、試す方も少なくありません。

整形外科で手術といわれた痛みやしびれが、手術をしない方法で治ったという話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

手術が必要といわれた、椎間板ヘルニアの痛みやしびれが本当に手術をせずに治ることがあるのでしょうか?

今回は、そのことについて私の考えを説明致します。

椎間板ヘルニアと言われた方の多くは、このMRIのように椎間板が飛び出し、神経を障害している部分を痛みやしびれの原因と言われます。

医師に、MRIを見ながらその異常を指摘されるのは非常に説得力があります。

しかし、ここには患者さんはご存じない2つの落とし穴があります。

①     MRIでこのような椎間板ヘルニアがみつかっても、痛みやしびれが全くない方がいることがわかってきました。

②     MRI上でまったく異常がなくても痛みやしびれを感じている方がいるということもわかってきました。

つまり、ヘルニアと痛みやしびれ等の症状は、因果関係がないことが多いのです。

このことから、仮に痛みやしびれが酷くてヘルニアが見つかっても、それが痛みやしびれの原因とは限らないため、ヘルニアを手術しても、患者さんの痛みやしびれが治るかどうかはわからないと言えるのではないでしょうか?

これを裏付けるように、椎間板ヘルニアで手術をしたが痛みやしびれは良くならなかったという話を、聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

何故このようなことが起こるのでしょうか?

それは、レントゲンやMRIのような画像検査で、見つけることが出来ない痛みやしびれを起こす原因が他にあるからです。

私が、特に重要だと考えているのが骨盤にある仙腸関節(下のイラスト、赤い部分)です。

仙腸関節は2-3㎜程度の動きがあるのですが、動きが少なくわずかなことで動かなくなり、機能障害という状態になってしまいます。

この仙腸関節の機能障害が引き起こす痛みやしびれは、椎間板ヘルニアの症状と非常によく似ています。そのため仙腸関節の機能障害のことを知らない医師は、MRIに写るヘルニアが原因と考えてしまう事があります。そして、原因ではないヘルニアを手術し、本当の原因である仙腸関節は治療していないため、痛みやしびれは良くならなかったのでは? と私は考えます。

一方、手術といわれた椎間板ヘルニアが整体やストレッチ、体操、マッサージなどで良くなったということをお聞きの方もいらっしゃるでしょう。整体やストレッチ、腰痛体操のような治療法は、基本的に椎間板ヘルニアに対して直接作用することはありません。それらの多くは、筋肉や関節に作用します(なかには、仙腸関節に作用する手技もあるようです)。

《整体やストレッチ、体操、マッサージなどで良くなるのは次のようなことが考えられます》

①本当は仙腸関節の機能障害が痛みの原因である方が、MRIで

椎間板ヘルニアが痛みの原因であると誤って診断される

②医師にヘルニアの手術をすすめられるが、したくないと思い、色々な治療をためす

③いろいろな治療を受けているうちに、

たまたま仙腸関節の機能障害を治療する治療を受け痛みがよくなる

④椎間板ヘルニアと言われた痛みやしびれが手術をしないで治った、と考える

つまり、手術といわれた椎間板ヘルニアの痛みやしびれが手術をしない方法で良くなったのは、そもそも、その痛みやしびれは椎間板ヘルニアが原因ではなかったということなのです。

しかし、ここで注意しなければいけないことがあります。それは、仙腸関節の機能障害の診断と治療は、簡単な場合と難しい場合があるということです。ちょっとした体操やストレッチで簡単によくなるケースもありますが、仙腸関節の機能障害を専門にしている医師がみないと診断、治療が難しいケースが多いのです。

また、少数ですが本当に椎間板ヘルニアが痛みやしびれの原因のケースもあり、そのなかには、緊急の手術をする必要があるケースもあるため注意が必要です。

痛みやしびれで困っている方にMRIで椎間板ヘルニアが認められた場合、本当にその痛みの原因が椎間板ヘルニアなのか?それとも、仙腸関節の機能障害のような他の病気が隠れていないかどうか? 常に考えながら治療する必要があると私は考えております。

★You Tube関連動画

(1) 【椎間板ヘルニア 手術をせずに痛みしびれを取る。】痛み・しびれで困っている方、手術を医師から勧められた方は必見。 – YouTube

腰椎椎間板ヘルニア: ヘルニアが原因か?それとも仙腸関節が原因か?

望クリニック 副院長の住田憲祐です。

今回は、私が普段どのような考え方で診療をしているかを書かせて頂こうと思います。

先日、下記のような患者さんがいらっしゃいました。

30代男性

2年程前から腰~左下肢の痛み、しびれを発症。

整形外科では牽引・マッサージや、ロキソニン等鎮痛薬による治療を受けていましたが、あまりよくならなかったとのこと。

そのさなか、慣れない場所で寝たことをきっかけに腰痛が悪化。他に治療法がないものかと思い、AKA-博田法を目的に当院の系列クリニックを受診。

私がAKA-博田法を教えた理学療法士が3回治療するも良くならず、私宛に紹介されてご来院。

私が診察時に最も気をつけているのは、正確な診断と正確な治療です。

例えばこの方の場合、まず痛みの原因として考えたのは以下の2つです。

1. 仙腸関節以外の病気が原因の可能性。

例えば腰椎椎間板ヘルニアや、可能性は低いが悪性腫瘍の転移等整形外科の病気以外の可能性。

 

2. 仙腸関節が原因だが、技術不足により治せていない可能性。

1. については、腰椎MRIを撮ったところ、腰椎の4番目と5番目の間にヘルニアが見つかりました。

2. については、AKA医学会指導医の私が再度評価することにしました。

AKA-博田法による評価 

初回治療前

患者さんの症状:左半身の筋肉に異常なこわばりを感じる。

仙腸関節の状態:左側の仙腸関節が右側に比べほとんど動いていない。

治療直後

患者さんの症状:左半身の筋肉のこわばりが軽減し、筋肉がほぐれた感じがする。

仙腸関節の状態:左側の仙腸関節が50%位動くようになった。

2回目(前回治療より2週間後)

治療前

患者さんの症状:前回より腰~左下肢の痛みとしびれが明らかに改善、痛み止め服用しなくなったとのこと

左仙腸関節の状態:通常の50%程度の動き 

診断:左仙腸関節機能障害

   腰椎椎間板ヘルニアの疑い

腰椎椎間板ヘルニアの根本治療は手術です。手術は身体への負担が大きく入院も必要です。また症状をみる限り、手術を急ぐ状況ではありません。

患者さんと相談した結果、まずは身体への負担が少ないAKA-博田法で仙腸関節機能障害を治療し、どこまで腰痛が改善していくかをみていくことになりました。

考察:

私がAKA-博田法を行い変化した症状は、①の仙腸関節機能障害が原因です。

問題は残りの症状についてです。

仙腸関節が十分に改善してないためか、それともヘルニアが原因かの見極めが重要です。

患者さんによっては、仙腸関節が原因の症状とそれ以外による症状が重なっていることもあります。

厄介なことに、ヘルニアが原因の場合と仙腸関節が原因の場合とは症状が似ており、その見極めはMRIだけでなく、AKA-博田法が必須です。この方のように最初の1-2回では見極めきれないこともあります。

このような場合、術者の技量が問われます。技術の熟練度により結果が変わり、診断が変わってしまうためです。

AKA-博田法は手術のように、一度手術をしたら元に戻れないという状況にはなりません。

しかし、患者さんの痛みの未来をお預かりしています。大切なお身体を診ている責任を痛感しました。

この患者さんについては、ヘルニアが原因か仙腸関節が原因かを慎重にみていこうと思います。

★You Tube関連動画

(1) 【椎間板ヘルニア 手術をせずに痛みしびれを取る。】痛み・しびれで困っている方、手術を医師から勧められた方は必見。 – YouTube

肩こりについて

女性の身体の訴えで最も多いのは、腰痛や膝痛ではなく肩こりです(平成28年国民生活基礎調査)。

一般的に肩と言われる部分がこる方、首がこる方、肩甲骨の間がこる方等々、その症状は様々です。

ひどくなると頭痛や嘔吐までしてしまう方もいらっしゃいます。

病院へ行くとレントゲンやMRIを撮ることがあります。

若い方では頸椎がまっすぐになっている「ストレートネック」、

何処も悪い所が見つからない「異常なし」、

なかには「なで肩」を指摘される方もいらっしゃいます。

中年以降では「頚椎の変形」や「ヘルニア」を指摘されることもあります。

確かにレントゲンやMRIには上記のような「形の異常」は写るのでしょう。しかし、私の経験ではそれらは肩こりの原因ではないことが多いのです。

そもそもAKA-博田法の視点でみると、肩こりの原因が肩自体にあることは少ないのです。

肩こりの根本原因として最も多いのは、骨盤にある仙腸関節の機能障害です。機能障害とは本来1~3ミリ動くべき仙腸関節が、硬くなったり炎症を起こしたりして、動きが悪くなっている状態です。

肩こりの原因が頚椎ではなく、骨盤の仙腸関節にあると言われると、違和感を覚える方もいるでしょう。

やや専門的なお話になりますが続けます。

仙腸関節が機能障害を起こすと、関節反射という特殊な反射が起こります。この反射により身体の様々な部位の筋肉や、靭帯等が硬く緊張します。この緊張を痛みやしびれ、こり等の症状として感じるのです。

そして、この緊張は首、肩、腰、股関節や膝、手足の先に至るまで、全身何処にでも起こり得ます。

一般的には個々人がよく使う部位、骨格の構造上負担のかかり易い部位、以前に傷めた部位などにみられる事が多いようです。

そのため、症状が人により異なるのです。

例えば、ここに腰が痛い方、膝が痛い方、肩こりの方が3人いたとします。

それぞれ症状は腰・膝・肩と部位は違いますが、それらの根本原因はいずれも仙腸関節の機能障害であることが多いのです。

肩こりの場合、肩の筋肉が過緊張がすることで、いわゆる肩こりとして感じるのです。

マッサージや鍼治療、ストレッチ体操などをすると肩こりが楽になるのは、この過緊張が一時的に緩むためです。

良くなった後にレントゲンやMRIを撮っても、ストレートネックやなで肩、ヘルニア、変形はそのままです。

この場合、これらは肩こりとは関係がなかったと考えます。

AKA-博田法は根本の原因である仙腸関節を治療することで、こりを治すだけではなく、こりが起こりにくい身体を目指します。

また、治療だけでなく予防もとても大切です。

コロナ騒動による急な在宅勤務で、パソコン作業が続き肩こりに困っている患者さんが増えています。

過度な肩こりに至らないためにも、こまめに姿勢を変えたり、前回セルフケアでお伝えした、前後屈体操をするように心掛けて下さい。勿論お風呂にゆっくり入って温めるのもオススメです!