望クリニック 副院長の住田憲祐です。
今回は、私が普段どのような考え方で診療をしているかを書かせて頂こうと思います。
先日、下記のような患者さんがいらっしゃいました。
30代男性
2年程前から腰~左下肢の痛み、しびれを発症。
整形外科では牽引・マッサージや、ロキソニン等鎮痛薬による治療を受けていましたが、あまりよくならなかったとのこと。
そのさなか、慣れない場所で寝たことをきっかけに腰痛が悪化。他に治療法がないものかと思い、AKA-博田法を目的に当院の系列クリニックを受診。
私がAKA-博田法を教えた理学療法士が3回治療するも良くならず、私宛に紹介されてご来院。
私が診察時に最も気をつけているのは、正確な診断と正確な治療です。
例えばこの方の場合、まず痛みの原因として考えたのは以下の2つです。
1. 仙腸関節以外の病気が原因の可能性。
例えば腰椎椎間板ヘルニアや、可能性は低いが悪性腫瘍の転移等整形外科の病気以外の可能性。
2. 仙腸関節が原因だが、技術不足により治せていない可能性。
1. については、腰椎MRIを撮ったところ、腰椎の4番目と5番目の間にヘルニアが見つかりました。
2. については、AKA医学会指導医の私が再度評価することにしました。
AKA-博田法による評価
初回治療前
患者さんの症状:左半身の筋肉に異常なこわばりを感じる。
仙腸関節の状態:左側の仙腸関節が右側に比べほとんど動いていない。
治療直後
患者さんの症状:左半身の筋肉のこわばりが軽減し、筋肉がほぐれた感じがする。
仙腸関節の状態:左側の仙腸関節が50%位動くようになった。
2回目(前回治療より2週間後)
治療前
患者さんの症状:前回より腰~左下肢の痛みとしびれが明らかに改善、痛み止め服用しなくなったとのこと
左仙腸関節の状態:通常の50%程度の動き
診断:左仙腸関節機能障害
腰椎椎間板ヘルニアの疑い
腰椎椎間板ヘルニアの根本治療は手術です。手術は身体への負担が大きく入院も必要です。また症状をみる限り、手術を急ぐ状況ではありません。
患者さんと相談した結果、まずは身体への負担が少ないAKA-博田法で仙腸関節機能障害を治療し、どこまで腰痛が改善していくかをみていくことになりました。
考察:
私がAKA-博田法を行い変化した症状は、①の仙腸関節機能障害が原因です。
問題は残りの症状についてです。
仙腸関節が十分に改善してないためか、それともヘルニアが原因かの見極めが重要です。
患者さんによっては、仙腸関節が原因の症状とそれ以外による症状が重なっていることもあります。
厄介なことに、ヘルニアが原因の場合と仙腸関節が原因の場合とは症状が似ており、その見極めはMRIだけでなく、AKA-博田法が必須です。この方のように最初の1-2回では見極めきれないこともあります。
このような場合、術者の技量が問われます。技術の熟練度により結果が変わり、診断が変わってしまうためです。
AKA-博田法は手術のように、一度手術をしたら元に戻れないという状況にはなりません。
しかし、患者さんの痛みの未来をお預かりしています。大切なお身体を診ている責任を痛感しました。
この患者さんについては、ヘルニアが原因か仙腸関節が原因かを慎重にみていこうと思います。
★You Tube関連動画
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