こんにちは、望クリニック副院長 AKA-博田法指導医の住田憲祐です。
今回は腰痛とストレッチ体操についてお話し致します。
高齢になるに従い、からだは硬くなっていきます。
患者さんからは、
「硬くなったらストレッチをしたほうがいいの?」
というご質問を受けることがあります。
私は、「ストレッチ体操で安全にからだを柔らかくすることは難しいです。痛い時は治療を優先する時期なので、ストレッチ体操は控えて安静にして下さい。そして、良くなったら無理のない範囲で行うのは結構です」とお答えしています。
つまり、痛い時は治療を優先し、ストレッチ体操はお休みして頂きます。痛みが良くなっても積極的にはオススメしていません。
例えば、腰痛は腰周りの筋肉が硬くなっている状態を痛みと感じていることがあります。そのため、ストレッチ体操をすると、腰回りの筋肉が緩んで痛みが楽に感じたり、腰の曲げ伸ばしが良くなったりして身体を柔らかく感じることがあります。
これを患者さんは関節が柔らかくなったと感じるのでしょう。
ストレッチ体操は筋肉を緩める1つの手段であり、それにより痛みがなく元気が保てていれば良いでしょう。
問題はそれでは良くならない腰痛です。
この場合、ストレッチ体操を続けることに疑問があります。
また、身体が硬いことと関節の動きが悪い事は、必ずしも一致している訳ではありません。例えば、身体は柔らかいのに仙腸関節の動きは悪く、固まってしまっていることもあるので注意が必要です。
ストレッチで柔らかくなるのは主に関節の周りの筋肉です。動きの範囲が広がったり柔らかくなった感じがしても、関節の動きそのものは良くなっていないこともあります。
では、関節の動きをよくするにはどうしたら良いのでしょう?
例えば病院のリハビリを思い出して下さい。怪我等で硬くなった関節の動きをよくする運動を、リハビリの先生にやってもらったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
関節の動きをよくするには、他の人の手により行う方が望ましいです。
自分で行う運動や体操は、安全性や有効性に疑問があるからです。
望クリニックでは、関節の動きをよくする手段として、AKA-博田法を取り入れています。
AKA-博田法とは、1つ1つの骨に触れて関節の中の動きを滑らかにする治療方法です。
関節が動作に伴い動く時、その中で起こる動きを関節包内運動といいます。
関節包内運動が滑らかでない(動きの悪い)状態を関節機能障害といいます。
関節機能障害は全身の関節に起こり得ますが、なかでも骨盤にある仙腸関節の機能障害は、腰痛の原因の1つとして知られています。
私が患者さんにストレッチ体操を積極的に勧めない理由は、ストレッチ体操自体が仙腸関節の機能障害を起こし、腰痛を発症することがあるためです。
特にストレッチ体操を続けていてもなかなか良くならなかったり、腰痛を繰り返す場合は、すでに仙腸関節に機能障害を起こしている可能性があります。
例えば、長年の腰痛に苦しんでいるバレリーナの患者さんは、身体は非常に柔らかいのですが、仙腸関節の動きは悪く、とても硬くなっていました。つまり、ストレッチ体操をしても仙腸関節は柔らかくなっていなかったのです。
このように、ストレッチ体操は
腰痛の治療という点でオススメできません。先ずは痛みをしっかりと治療すると良いでしょう。
※仙腸関節体操、仙腸関節に対するストレッチを勧める整形外科や整体院があるけど、それってどうなの?と思う方もいらっしゃると思います。これについては、また別の機会に書こうと思います。
まとめ
・ストレッチ体操は腰痛の治療ではなく、痛くない方がリラックスや心身の健やかさを保つために無理のない範囲で行うのはよいでしょう。
・ストレッチ体操で柔らかくなるのは主に筋肉で、腰痛の原因となる仙腸関節の動きそのものは柔らかくなりません。
・ストレッチ体操をしても腰痛を繰り返す方は、AKA-博田法で仙腸関節を治療してみるとよいでしょう。