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変形性膝関節症の痛みについて

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今日は変形性膝関節症についてお話し致します。

厚生労働省によると、国内の変形性膝関節症患者数は推定で約3000万人です。

日本の高齢者(65歳以上)人口は、3588万人(2019年9月15日現在)なので、該当する方は多い病気と言えるでしょう。

この病気の主な症状は痛みです。他に関節の変形や腫れ、水が溜まることもあります。

一般的には、軟骨がすり減って骨と骨がぶつかり、炎症を起こして痛むと言われています。      

レントゲン写真を撮ると、軟骨がすり減り、関節の隙間が狭くなって見えます。

治療は保存療法と手術があります。

保存療法では、運動療法、薬物療法(ステロイドやヒアルロン酸の注射)、物理療法、装具療法(サポーターなど)があります。

太ももの筋肉を鍛えるトレーニングや、ストレッチ体操は運動療法としてよく知られています。

このブログを読んでいる方は、きっとこれらの方法では良くなっていない方でしょう。

痛みが長期化して、膝が硬くなり正座が出来ないという方もいらっしゃると思います。

これは痛みが続くことで、少しずつ膝が固まってしまうためです。

膝が固まり始めると、日常生活はさらに不自由になります。

しゃがむ動作が難しくなったり、膝が伸び切らないことで左右の脚の長さに差が生じ、歩く時に左右へ揺れるようになったりします。

なにより痛くて出来ないことが増えてしまいます。

こうして痛みが増し、良くならないと、医師からは手術を勧められることがあります。

膝を人工の関節に替える手術はご存知の方もいらっしゃるでしょう。

他に、関節内を掃除する関節鏡手術、脛の骨を切って角度を変えることで負担を軽減させようという骨切り術もあります。

手術で良くなる方はいらっしゃいますが、出来れば手術をせずに良くしたいものです。

 本当に手術しかないの? 

いろいろ治療しても良くならず、整形外科医に「手術しかない」と言われれば、患者さんもそう思うでしょう。

すり減った軟骨は通常再生しないため、このままでは治る希望がないためです。

しかし、変形性膝関節症の痛みの原因には、整形外科医も知らない病気があります。

それが関節機能障害です。

関節機能障害とは、目に見えない関節のなかの微細な動き(これを関節包内運動という)が悪くなり、滑らかに動かなくなっている状態です。

これが起こると、痛みやしびれ、こりといった様々な症状を発症します。

変形性膝関節症と診断された痛みのなかには関節機能障害が原因のものが少なからずあります。

しかし、この病気はレントゲンやMRIには写らないこともあり、整形外科の医師にはあまり知られていません。

そのため、本当は関節機能障害が原因の痛みでも、レントゲンやMRIでわかる半月板や軟骨のすり減りを痛みの原因と考える傾向があります。

望クリニックでは、関節機能障害の治療法としてAKA-博田法を行っています。

変形性膝関節症の場合、一般的には膝が悪いから膝が痛いと考えます。

しかし、AKA-博田法ではそのように考えません。

膝の痛みも、まずは骨盤にある仙腸関節の機能障害が根本の原因と考えます。

仙腸関節の機能障害が原因で、膝に痛みを発症しているという考え方です。

そのため、治療は仙腸関節から行います。

   

AKA-博田法で良くなれば、その痛みは仙腸関節の機能障害が原因であると診断します。

この様に、原因(この場合、仙腸関節)と離れた部位に起こる痛み(この場合、膝痛)のことを関連痛といい、

仙腸関節の機能障害が原因で起こるため、仙腸関節原性の関連痛と言います。

私の経験では、変形性膝関節症と言われた痛みの多くがこれに該当します。

AKA‐博田法で治療すると膝の痛みが良くなったり、膝に溜まった水が引いたり、膝が柔らかくなる方が数多くいらっしゃいます。

こうして、痛みを抑え込めれば手術は回避できるでしょう。

 筋力トレーニングやストレッチ体操は痛みが良くなってから 

一般的な整形外科では、変形性膝関節症の方に、太ももの筋肉を鍛えたり、膝のストレッチ体操をすすめることがあります。

筋力を鍛えて膝関節への負担を減らしたり、ストレッチ体操をして膝が硬くなるのを防ぐのが目的です。

しかし、AKA-博田法ではその様に考えません。

むしろ、そういった運動を控えるようにお願いしています。

確かに、筋力は強い方が良いし、膝関節も柔らかい方が良いでしょう。

しかし、痛い部分は鍛えても筋肉があまりつきません。また、鍛える体操が膝への負担となり痛みが悪化することがあります。

ストレッチ体操も、ストレッチをしたその時は柔らかくなっても、時間が経つと元の硬さに戻ります。

膝は痛みが原因で固まることがあるためです。

なかには、痛みを抱えた状態でストレッチ体操を繰り返すうちに、少しずつ硬さが進行するケースもあるのです。

共通している点は、痛みが良くなっていないのに運動しているということです。

運動をして症状が悪化してしまった方をたくさん見てきました。

筋力トレーニングやストレッチ体操は痛みが良くなってから行うと良いでしょう。

 半月板や軟骨のすり減りは痛みの原因ではない? 

40歳を過ぎると関節の老化が始まり、65歳を超えると痛くない方でも軟骨はすり減っています。

しかし、加齢により半月板や軟骨がすり減っていても痛くない人はたくさんいます。

つまり、これらのすり減りは、痛みの有無とは一致しないだけでなく、そもそも痛みの原因でないことが多いのです。

AKA-博田法で治療して痛みが良くなった後も、半月板や軟骨はすり減ったままです。

痛みを治すには軟骨を再生するのではなく、関節機能障害の治療が必要な場合があります。

様々な治療をためして良くなっていない方、手術を考えている方は、これまでの治療法とは視点を変えて、関節機能障害を治療してみるのも良いでしょう。

著書『腰痛ドック』が出版されました。

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医住田憲祐です。

本が西村書店さんより出版されます。

題名は『腰痛ドック』です。

この本は、副院長住田憲祐が、日刊スポーツで2016年12月から2017年3月にかけて監修した。『その痛み、治すのは整形内科医』のコラムを元に私と私の父住田憲是が加筆修正を加えたものです。

この『腰痛ドック』は、どのような方に対する本かと言いますと、

一度整形外科に受診したことがある方、手術を検討している、また手術を一度したがあまりよくならなかった。このような経験をお持ちの方に是非読んでいただきたい内容になっております。

おおまかな内容は、整形外科や色々な民間療法を行っても、なぜ腰痛が治らないのか。

整形外科でのレントゲンや、MRI等の画像検査では、原因をつきとめられる腰痛は実はほとんどなく、整形外科で診断できない腰痛の原因として『仙腸関節の機能障害』があること。

仙腸関節の関節機能障害の診断、治療の方法である、AKA-博田法の紹介

実際にAKA-博田法を受けた患者さんの紹介

特に腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの手術を検討している方は、手術をする前にこの部分だけでも一度読んでいただけたらと思います。

また、骨盤にある仙腸関節の動きの視点からみた、セルフケアの方法についても書いています。筋トレやストレッチをすることは、腰痛を改善するどころか悪化させることがあります。

仙腸関節の機能障害のセルフケアについて書いてある書籍はほとんどありませんので参考になると思います。

現在整形外科では、腰痛の85%以上は非特異性腰痛と言われ、原因がわかっていません。運よく、腰痛の治療がうまくいった方はよいのですが、上手くいっていない方は自分の腰痛の原因にあった、治療を探さなければいけない現状にあります。

この腰痛ドックで仙腸関節について知識を深めていただき、なかなか治らない腰痛を良くする糸口となれば幸いです。

以上、望クリニック住田憲祐でした。

腰のコルセットについて

こんにちは、望クリニック副院長・AKA‐博田法指導医の住田憲祐です。

今回は、日々の診療で受けるご質問、「腰痛にコルセットはした方がいいの?」についてお話致します。

腰痛患者さんのなかには有効な治療法に出会えないまま、対症療法としてコルセットを使っている方は少なくありません。
問題は慢性的に腰痛を患っていて、コルセットを手放せなくなっている方です。

コルセットに対する考え方も、一般的な整形外科とAKA-博田法では異なることがあるためご注意下さい。

 コルセットとは? 
腰のコルセットのことを、正式には腰部固定帯といいます。

一般的には腰のサポーターとして知られています。
腰に巻くことで腹圧を上げ、脊柱や椎間板への負担を減らします。
これにより、痛む部位を安静に保ち、鎮痛を目的とします。
また、装着することで動きを制限し、痛みを起こさないようにします。

 どういう方が使っているの? 
一般的には、急性、慢性に関わらず腰痛の方に使用します。

特にギックリ腰などで痛みが強い場合や、慢性腰痛でも、コルセットをすると楽になる場合がそうです。
なかには、以前腰痛になって以降、なんとなく外せずに着用している方もいらっしゃいます。
当初は医師の勧めで使い始め、年月が経つと、ほとんどの方は自己判断で使っているようです。

 コルセットはいつになったら外すの? 
一般的には痛みの状況により判断します。
痛みが緩和してきたら、限定的な使用に変えていき、痛くなくなれば各自の判断で外していきます。

 治療期間中にコルセットは必要? 
ここからはAKA-博田法の視点を交えてお答えします。
整形外科において、コルセットが勧められる腰痛の多くは仙腸関節の機能障害が原因です。

この場合、コルセットをすることなく、『治療+安静』で治すのが良いでしょう。
しかし、痛みが強く、コルセットをしないと日常生活に支障を来す場合は、使用もやむをえないと考えています。


私がコルセットの使用を積極的勧めないのは、コルセットをして痛みが緩和しても、痛みの震源地である仙腸関節は治っていないためです。
また、コルセットをして痛みが緩和すると、活動量が増えて安静ではなくなります。
これにより、仙腸関節への負担は増し、かえって痛みが長引いてしまうこともあります。

 コルセットだけでは不十分! 
コルセットをしていても慢性的に痛むのは、しっかり治療していないからです。
コルセットを勧められるような腰痛の多くは仙腸関節の機能障害が原因です。

対症療法でその場しのぎを続けるのではなく、まずはこれを治療すると良いでしょう。

 コルセットは予防として有効か? 
予防としての意味はないと考えます。
仙腸関節の機能障害による腰痛の場合、予防として有効なのは、仙腸関節の機能障害を防ぐものです。
しかし、コルセットにその様な機能はないためです。

 筋力低下は起こる? 
一般的に長期間使用すると、筋力低下をもたらすと言われているようですが、必ずしもそうとは言えません。
 

以上が日々の診療でよく聞かれるものです。

さらにご質問があれば次回の受診時にお尋ねください!

仙腸関節の体操、仙腸関節のストレッチを勧める整形外科や整体院があるけど、それってどうなの?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は体操やストレッチのなかでも特に、「仙腸関節の体操」や「仙腸関節のストレッチ」についてお話し致します。

最近、整形外科でも腰痛の原因として、仙腸関節の異常が少しずつ注目されています。

仙腸関節が原因と考えれば、それに対する治療法や体操が出てくるのは当然です。

しかし、同じ仙腸関節の治療でも、仙腸関節の何を治療するのか?が重要です。

AKA-博田法の場合、治療対象は仙腸関節の機能障害です。

関節は互いの骨が接する部分を関節面といいます。そして、この関節面は関節包という袋に包まれています。

関節包内運動とは、この関節包の中で起こる微細な動きのことです。

関節機能障害とは、この関節包内運動が滑らかでない状態のことをいいます。

何故、関節機能障害を治療する必要があるかというと、これが起こると、筋肉の異常な緊張が起こり痛みやシビレを発症するからです。

治療は、ひとつひとつの骨に直接触れて行います。

           

仙腸関節のわずか1~3ミリの微細な動き(関節包内運動)を感じて滑らかに動くようにします。

つまり、仙腸関節周辺を動かせば良いのではなく、仙腸関節の機能障害を治療する(=関節包内運動を良くする)ことが大切なのです。

それゆえ、治療には熟練の手技が必要です。

他方で、異なる仙腸関節のアプローチもあります。

例えば、このブログのタイトルである、仙腸関節の体操や仙腸関節のストレッチといわれるものです。

他にも、仰向けに寝た状態で仙腸関節の下にボールの様な物を入れて動かす方法や、ズレを治すという方法もあるようです。

やり方は様々ですが、結果的には仙腸関節周辺や腰回りの筋肉の緊張が緩み、痛みが楽になるのでしょう。

これにより良くなっていれば、さらに治療する必要はありません。

しかし、良くなっていない方や、再発を繰り返す方は、要注意です。

体操やストレッチで仙腸関節周囲の筋肉が緩むことはあっても、仙腸関節の機能障害(=包内運動の異常)を治療することは難しいからです。

例えば、

仙腸関節の体操やストレッチをして腰痛が良くなったという方はいらっしゃるでしょう。

これは、体操等で腰周りの筋肉が緩んだことによる可能性があります。

その一方で、腰が痛くなかった方が腰痛になったり、元々の痛みが増すこともあります。

これは、仙腸関節に無理が加わり、肝心の機能障害が悪化したためと予想できます。

この様に、効果はまちまちで、仙腸関節にアプローチ出来たとしても、治療としては十分とは言えません。

とくに仙腸関節に炎症がある方が行うと、痛みが悪化する可能性は増します。

同じ仙腸関節へ働きかけると言っても、AKA-博田法とは全く別のことをしているケースが多いのです。

腰痛がなかなか良くならず、仙腸関節が原因かなと?感じたら、機能障害の治療は重要な選択肢の1つといえるでしょう。

最後に、関節機能障害の視点からみた体操をオススメします。

                  前後屈体操 

立位で軽く前後に身体を曲げ伸ばしします。

一見すると何をしているか分からないような体操ですが、この運動に伴い仙腸関節の包内運動が起こります。

前に深く曲げたり、後ろに反らせ過ぎると、かえって包内運動を悪化させる(関節機能障害を生じる)可能性があるため、軽く行うのがポイントです。

この体操は、AKA-博田法で治療したうえで行うと、比較的仙腸関節の包内運動を保ち機能障害を防ぐことができます。

簡単な体操なので、こまめに行ってみてください。

まとめ

・仙腸関節の体操やストレッチでは、仙腸関節周囲や腰周りの筋肉が緩み、痛みが緩和することがあります。

・仙腸関節の体操やトレッチは、仙腸関節の機能障害の治療にはなりません。

・仙腸関節の体操やストレッチ自体が仙腸関節への負担となり、痛みの原因になることもあります。

・仙腸関節の包内運動を保つ(=機能障害を防ぐ)体操としては、前後屈体操がお勧めです。

腰痛診療ガイドライン2019年について

こんにちは、望クリニック副院長の住田憲祐です。

今回は腰痛診療ガイドライン2019年から、腰痛の原因について、現在の整形外科では一般的にどのような考えが主流なのか。

また、それに対する私の考えを話していこうと思います。

腰痛ガイドライン2019年版は、日本整形外科学会と日本腰痛学会が監修した本です。

一般的な整形外科の腰痛診療に対する考え方が書いてあります。

よく腰痛の85%程度が原因不明であるという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは、この7年前に出版された2012年の腰痛診療ガイドラインに記載されていた話で、もともと欧米の雑誌から引用されたものです。

これに対して、2019年度版のガイドラインにはこう書かれています。

・その根拠は米国の総合診療医に情報を統合されたものであるため、その正確性と詳細は不明である。

・近年鈴木医師により発表された、腰痛の原因を調査した報告によると、椎間関節性22%、筋筋膜性18%、椎間板性13%、狭窄症11%、椎間板ヘルニア7%、仙腸関節性6%と75%以上で診断が可能であるという研究が出てきた。これにより、腰痛の85%は非特異的腰痛であるという事については再考する必要があると書かれています。

この内容を踏まえて、私の考えをこれからお話いたします。

まず、仙腸関節が原因の腰痛が認知されてきていると感じました。

以前は、腰痛の原因として仙腸関節があげられる事すらほとんどありませんでした。

仙腸関節性の6%は、椎間板ヘルニアの7%とそう変わらない数字です。ヘルニアと同じくらい仙腸関節が原因と腰痛があると考えると、かなり多いように感じるのではないでしょうか。

しかし、この研究では仙腸関節が原因である腰痛の一部しか診断できていないと考えます。なぜなら、このガイドラインで書いてある研究は、仙腸関節を診断する方法として仙腸関節に局所麻酔薬を注射する、仙腸関節ブロックを用いているからです。

その証拠に仙腸関節ブロックが全く効果なく、仙腸関節は問題ないと他の整形外科の医師に言われた方でも、AKA-博田法で仙腸関節を治療すると腰痛が楽になり、仙腸関節が原因であったという患者さんが当院に数多くいらっしゃっています。

仙腸関節ブロックでは、仙腸関節の動きを評価できません。その為、仙腸関節の原因である腰痛の一部、6%しか見つけられなかったのではないかと私は考えています。

またこの研究の平均年齢は55.7歳とされています。

仙腸関節は、40歳を超えてくると加齢による影響で関節の軟骨がすり減ってくるため、徐々に関節の機能障害が起きやすくなってくると言われています。

この研究に参加した患者さんのほとんどに、仙腸関節の軟骨がすり減り、動きが悪くなり、仙腸関節の機能障害があってもおかしくはありません。

例えば、狭窄症と診断された方が、実は仙腸関節の機能障害も引き起こし、仙腸関節も痛みの原因となっていた。

ヘルニアと診断された方が、仙腸関節の機能障害も引き起こし、仙腸関節も痛みの原因となっていた。

このようなケースもあったのではないでしょうか。

事実、このような患者さんが当院には多くいらっしゃいます。

他にも、気になるのは腰痛の原因として椎間関節性の22%と筋、筋膜性18%についてです。

この2つは仙腸関節の関節機能障害が起きると、以下の2つの現象が起こる事を博田節夫先生が発見しています。

①椎間関節の関節の動きが悪くなり、機能障害がおこる。特に腰椎の椎間関節は仙腸関節機能障害が原因で動かなくなってしまうことがほとんどである。

②腰周辺の筋肉等の軟部組織の異常な収縮がおこる

仙腸関節の機能障害により起こる①、②の現象は、椎間関節、筋筋膜性の腰痛と非常に似ています。そのため、私は、椎間関節性、筋筋膜性の腰痛あわせて40%も仙腸関節の機能障害と密接な関係にあると言えると思います。

私の考えとしては、仙腸関節の機能障害が椎間関節、筋筋膜由来の腰痛のほとんどを引き起こすと考えております。

まとめです

・腰痛診療ガイドライン2019年版で、腰痛の原因として椎間関節性22%、筋筋膜性18%、椎間板性13%、狭窄症11%、椎間板ヘルニア7%、仙腸関節性6%。75%以上で診断が可能であるという研究について掲載されました。

仙腸関節由来の腰痛が6%という結果になっています。以前より仙腸関節性の腰痛が認知されてきています

しかしながら、仙腸関節ブロックで診断できる仙腸関節由来の腰痛は一部にとどまります。

AKA-博田法のような仙腸関節の動きについて評価できる診断方法を用いていたら、違った結果になったのではないかと考えられます。

股関節の痛みを治す方法について

こんにちは、望クリニック副院長、AKA-博田法指導医住田憲祐です。

今回は、股関節の痛みを治す方法についてのお話です。

股関節の痛みを治す方法として、これまでどのような治療を受けてきましたでしょうか。

痛み止め、湿布、温熱、電気、鍼灸、整体、マッサージ、筋トレ、ストレッチ等いろいろな治療があります。

整体やストレッチ、筋力トレーニングについて説明されている動画も非常に多いです。

この動画では、般的な方法をやってきたがなかなか股関節の痛みがなかなか良くならない、何か治す方法がないものかと思っている方に役立つ内容になっております。

望クリニックには、色々な治療をしてきたがなかなか股関節の痛みがよくならない患者さんが数多くいらっしゃいます。

一般的な治療、病院では薬の処方、温熱、電気等のリハビリ。病院以外では、鍼灸、整体、マッサージ、筋トレ、ストレッチの様な方法を一通り経験してからいらっしゃる方が多いようです。

普通、これだけ色々な治療をしてきた患者さんですと、もう治療する方法がないと考えるかもしれません。

そのような方でも、多くの場合まだ治療をしていない場所があります。それが関節包内運動です。

関節包内運動は、2種類あります。

①骨の運動に伴って起こる構成運動

②骨の動きと関係なく起こる副運動       です

特に痛みの治療には副運動の治療が大事になってきます。

もしかしたら関節の動きをよくするような体操、リハビリ、整体はこれまで幾度となく試してきたという方もいらっしゃると思います。

しかし、私の経験では、ほとんどの方はこの副運動の治療が正しく行われてきてないようです。

副運動の治療は、筋肉がリラックスした状態で熟練した他者の手で行わないと難しいからです。

他者の手によりというのがポイントです。

簡単に言うと自分で体操やストレッチを一生懸命に行っても副運動の治療にはならないということになります。

副運動の治療は他人にやってもらう必要があるということです。

また、どの関節の副運動を治療するのが股関節の痛みに有効かという問題もあります。

ふつう、股関節の痛みだから当然股関節を治療すると考えると思います。

そこも実は落とし穴です。

股関節よりも、仙腸関節の方が股関節周辺の筋肉のこわばりに関係するということがAKA-博田法の開発によりわかったのです。

筋肉の異常なこわばりを、股関節の痛みやはり、歩きづらいという症状として感じる事が多いようです。

残念ながら、股関節の副運動は、股関節の痛みに対してあまり有効ではないことが多いようです。

これが、整体やリハビリなど専門家による治療を受けている方でも、なかなか股関節の痛みが良くならないというケースが多い理由だと考えております。

実際の治療は、

主に右股関節なら右の仙腸関節、左股関節なら左の仙腸関節の副運動を治療します。

仙腸関節の機能障害が股関節の痛みの原因かどうかは、AKA-博田法で治療した後に、股関節の痛みが良くなっているかどうかで判断します。5回位の治療の間に、症状に変化が出てくる方は、治療を続けていくことで股関節の痛みが出にくくなっていくケースが多いようです。

まとめ

股関節の痛みには、実は股関節よりも仙腸関節の方が関係している事が多いので注意が必要です。

AKA-博田法が他の治療と違う点は、2つです。

① ストレッチや体操等自分で行う運動ではよくする事ができない関節包内運動の副運動を治療すること

② 通常のリハビリ、整体等で治療していない仙腸関節を治療すること

仙腸関節の機能障害が起こると、股関節周辺の筋肉のこりやはりが起こり、股関節の痛みの原因になります。

これまで、色々な治療を試してきたが股関節の痛みがなかなか良くならず困っている方、仙腸関節の機能障害についてみてもらったことがありますでしょうか。もしないようであれば、AKA-博田法医学会の指導医のような専門の医師へ受診することをお勧めいたします。

このチャンネルでは、腰や膝、肩等の整形外科的な痛みやしびれで困っている方に対して有用な情報をお送りしております。もしよければ、他の動画もみていただけたらと思います。

以上、望クリニック 住田憲祐でした。

手術といわれた椎間板ヘルニアの痛みやしびれが、なぜ手術をしない治療法で治ることがあるのか?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

整形外科で椎間板ヘルニアと診断され手術を勧められた方が、できれば手術をせずに治したいと考えるのは当然です。

その手段として整体、腰痛体操、ストレッチ、健康器具等、色々な治療法を探し、試す方も少なくありません。

整形外科で手術といわれた痛みやしびれが、手術をしない方法で治ったという話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

手術が必要といわれた、椎間板ヘルニアの痛みやしびれが本当に手術をせずに治ることがあるのでしょうか?

今回は、そのことについて私の考えを説明致します。

椎間板ヘルニアと言われた方の多くは、このMRIのように椎間板が飛び出し、神経を障害している部分を痛みやしびれの原因と言われます。

医師に、MRIを見ながらその異常を指摘されるのは非常に説得力があります。

しかし、ここには患者さんはご存じない2つの落とし穴があります。

①     MRIでこのような椎間板ヘルニアがみつかっても、痛みやしびれが全くない方がいることがわかってきました。

②     MRI上でまったく異常がなくても痛みやしびれを感じている方がいるということもわかってきました。

つまり、ヘルニアと痛みやしびれ等の症状は、因果関係がないことが多いのです。

このことから、仮に痛みやしびれが酷くてヘルニアが見つかっても、それが痛みやしびれの原因とは限らないため、ヘルニアを手術しても、患者さんの痛みやしびれが治るかどうかはわからないと言えるのではないでしょうか?

これを裏付けるように、椎間板ヘルニアで手術をしたが痛みやしびれは良くならなかったという話を、聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

何故このようなことが起こるのでしょうか?

それは、レントゲンやMRIのような画像検査で、見つけることが出来ない痛みやしびれを起こす原因が他にあるからです。

私が、特に重要だと考えているのが骨盤にある仙腸関節(下のイラスト、赤い部分)です。

仙腸関節は2-3㎜程度の動きがあるのですが、動きが少なくわずかなことで動かなくなり、機能障害という状態になってしまいます。

この仙腸関節の機能障害が引き起こす痛みやしびれは、椎間板ヘルニアの症状と非常によく似ています。そのため仙腸関節の機能障害のことを知らない医師は、MRIに写るヘルニアが原因と考えてしまう事があります。そして、原因ではないヘルニアを手術し、本当の原因である仙腸関節は治療していないため、痛みやしびれは良くならなかったのでは? と私は考えます。

一方、手術といわれた椎間板ヘルニアが整体やストレッチ、体操、マッサージなどで良くなったということをお聞きの方もいらっしゃるでしょう。整体やストレッチ、腰痛体操のような治療法は、基本的に椎間板ヘルニアに対して直接作用することはありません。それらの多くは、筋肉や関節に作用します(なかには、仙腸関節に作用する手技もあるようです)。

《整体やストレッチ、体操、マッサージなどで良くなるのは次のようなことが考えられます》

①本当は仙腸関節の機能障害が痛みの原因である方が、MRIで

椎間板ヘルニアが痛みの原因であると誤って診断される

②医師にヘルニアの手術をすすめられるが、したくないと思い、色々な治療をためす

③いろいろな治療を受けているうちに、

たまたま仙腸関節の機能障害を治療する治療を受け痛みがよくなる

④椎間板ヘルニアと言われた痛みやしびれが手術をしないで治った、と考える

つまり、手術といわれた椎間板ヘルニアの痛みやしびれが手術をしない方法で良くなったのは、そもそも、その痛みやしびれは椎間板ヘルニアが原因ではなかったということなのです。

しかし、ここで注意しなければいけないことがあります。それは、仙腸関節の機能障害の診断と治療は、簡単な場合と難しい場合があるということです。ちょっとした体操やストレッチで簡単によくなるケースもありますが、仙腸関節の機能障害を専門にしている医師がみないと診断、治療が難しいケースが多いのです。

また、少数ですが本当に椎間板ヘルニアが痛みやしびれの原因のケースもあり、そのなかには、緊急の手術をする必要があるケースもあるため注意が必要です。

痛みやしびれで困っている方にMRIで椎間板ヘルニアが認められた場合、本当にその痛みの原因が椎間板ヘルニアなのか?それとも、仙腸関節の機能障害のような他の病気が隠れていないかどうか? 常に考えながら治療する必要があると私は考えております。

★You Tube関連動画

(1) 【椎間板ヘルニア 手術をせずに痛みしびれを取る。】痛み・しびれで困っている方、手術を医師から勧められた方は必見。 – YouTube

腰椎椎間板ヘルニア: ヘルニアが原因か?それとも仙腸関節が原因か?

望クリニック 副院長の住田憲祐です。

今回は、私が普段どのような考え方で診療をしているかを書かせて頂こうと思います。

先日、下記のような患者さんがいらっしゃいました。

30代男性

2年程前から腰~左下肢の痛み、しびれを発症。

整形外科では牽引・マッサージや、ロキソニン等鎮痛薬による治療を受けていましたが、あまりよくならなかったとのこと。

そのさなか、慣れない場所で寝たことをきっかけに腰痛が悪化。他に治療法がないものかと思い、AKA-博田法を目的に当院の系列クリニックを受診。

私がAKA-博田法を教えた理学療法士が3回治療するも良くならず、私宛に紹介されてご来院。

私が診察時に最も気をつけているのは、正確な診断と正確な治療です。

例えばこの方の場合、まず痛みの原因として考えたのは以下の2つです。

1. 仙腸関節以外の病気が原因の可能性。

例えば腰椎椎間板ヘルニアや、可能性は低いが悪性腫瘍の転移等整形外科の病気以外の可能性。

 

2. 仙腸関節が原因だが、技術不足により治せていない可能性。

1. については、腰椎MRIを撮ったところ、腰椎の4番目と5番目の間にヘルニアが見つかりました。

2. については、AKA医学会指導医の私が再度評価することにしました。

AKA-博田法による評価 

初回治療前

患者さんの症状:左半身の筋肉に異常なこわばりを感じる。

仙腸関節の状態:左側の仙腸関節が右側に比べほとんど動いていない。

治療直後

患者さんの症状:左半身の筋肉のこわばりが軽減し、筋肉がほぐれた感じがする。

仙腸関節の状態:左側の仙腸関節が50%位動くようになった。

2回目(前回治療より2週間後)

治療前

患者さんの症状:前回より腰~左下肢の痛みとしびれが明らかに改善、痛み止め服用しなくなったとのこと

左仙腸関節の状態:通常の50%程度の動き 

診断:左仙腸関節機能障害

   腰椎椎間板ヘルニアの疑い

腰椎椎間板ヘルニアの根本治療は手術です。手術は身体への負担が大きく入院も必要です。また症状をみる限り、手術を急ぐ状況ではありません。

患者さんと相談した結果、まずは身体への負担が少ないAKA-博田法で仙腸関節機能障害を治療し、どこまで腰痛が改善していくかをみていくことになりました。

考察:

私がAKA-博田法を行い変化した症状は、①の仙腸関節機能障害が原因です。

問題は残りの症状についてです。

仙腸関節が十分に改善してないためか、それともヘルニアが原因かの見極めが重要です。

患者さんによっては、仙腸関節が原因の症状とそれ以外による症状が重なっていることもあります。

厄介なことに、ヘルニアが原因の場合と仙腸関節が原因の場合とは症状が似ており、その見極めはMRIだけでなく、AKA-博田法が必須です。この方のように最初の1-2回では見極めきれないこともあります。

このような場合、術者の技量が問われます。技術の熟練度により結果が変わり、診断が変わってしまうためです。

AKA-博田法は手術のように、一度手術をしたら元に戻れないという状況にはなりません。

しかし、患者さんの痛みの未来をお預かりしています。大切なお身体を診ている責任を痛感しました。

この患者さんについては、ヘルニアが原因か仙腸関節が原因かを慎重にみていこうと思います。

★You Tube関連動画

(1) 【椎間板ヘルニア 手術をせずに痛みしびれを取る。】痛み・しびれで困っている方、手術を医師から勧められた方は必見。 – YouTube