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肩こり

肩こり

2019年、厚生労働省発表の国民生活基礎調査によると、様々な身体の不調による症状のうち、女性で最も多い症状は肩こりです。男性の場合は、腰痛に次いで2番目に多い症状です。

<小林製薬 2016年 ビジネスマンの肩こり実態調査>(注1)では、
肩こりを訴えるビジネスマンを”肩コリーマン”と称して20~50代、合計412人のビジネスマンの意識、実態を調査しています。
これによると、肩こりを「全く感じていない」と回答したのは、わずか5.6%とかなり多くの方が肩こりを感じているようです。

肩こりだけでなく、首や目の症状や、30%前後の方は腰や背中にも症状があるそうです。

また、1週間のうちでも常に肩こりを感じる方が31.9%もいるのです。
この調査によると、最も酷くなるのは、木曜日の16~17時だそうです。
これだけ多くの方がお困りの肩こりですが、その治療については、
7割以上の方が自分の肩こりケアに満足していないそうです。

このように、肩こりもまた国民病といえるでしょう。

整形外科へ行くと、まずレントゲンを撮り、重大な病気が隠れていないかを確認します。

異常が指摘される場合、高齢者では頸椎が変形している変形性頸椎症、若い方だと頸椎が真っ直ぐになっているストレートネックと言われる方が多いようです。

なかには異常が見つからず、なで肩や筋力不足、運動不足を指摘されることもあります。

治療はリハビリや体操を勧められたり、筋肉を緩める薬が処方されたりします。

いずれにせよ、こっている筋肉を緩めることを目的にします。

一方で、肩こりは病気と考えず、病院には行かない方も少なくありません。

マッサージや整体、鍼治療などを受けている方、ご自分でストレッチ体操などをしたり、お風呂にゆっくり入ったりすることで対処している方もいらっしゃるようです。

腰や膝、股関節の痛みが高齢者に多いのに対し、肩こりは若い年齢層の方にも多く見られるのも特徴です。

すでにお悩みの方はお分かりの通り、肩こりは肩周辺の筋肉の異常な収縮を「肩こり」として感じています。

そのため、多くの対処法はそれを緩める方法です。

これらの方法で良くなっていれば良いでしょう。

しかし、この調査にもあるように、7割以上の方が肩こりのケアに満足していなのも事実です。

その理由として、一旦治ってもすぐこってしまうため(45.5%)が挙げられています。

望クリニックが専門で行っているAKA-博田法でも、肩こりは首や肩の周囲にある筋肉が異常に収縮して硬くなった状態と考えます。

他の治療方法と異なるのは、何が原因で首肩の筋肉は硬くなっているか?です。

AKA-博田法では、仙腸関節の動きが悪くなったり炎症を起こしたりしたこと(これを関節機能障害という(注2))で、首や肩の周りの筋肉が異常に収縮していると考えます。仙腸関節が機能障害を起こすことで、腰の周囲から出た筋肉を伝わり、首や肩にも筋肉の収縮。。。。

つまり、首や肩のこりの根本の原因は仙腸関節にあるという考えです。

肩こりに悩む患者さんに、「こりの原因は仙腸関節の機能障害です」とお話ししても、仙腸関節と肩こりが関係あるとは思えずなかなか信じて頂けません。

しかし、仙腸関節の機能障害をしっかり治療したうえで、首や肩の関節を治療すると、首肩周囲だけを治療するより良くなることが多いのです。

なかには、仙腸関節を治療すると、肩周囲は治療しなくても、こりが良くなることもあります。

では、変形性頸椎症やストレートネックといわれた方の場合はどうでしょう?

これらが肩こりの本当の原因であれば、治ることはないでしょう。なぜなら、頸椎の変形や真っ直ぐになった頸椎が治ることは無いためです。

しかし、私の経験では、これらがこりの原因であることはほぼありません。

変形性頸椎症やストレートネックと診断された方も、AKA-博田法で治療すると、頸椎の形はそのままでもこりは多くの方は良くなるためです。

首や肩こりがなかなか治らずに、お困り方は、より根本的な原因である仙腸関節から治療してみるのも良いでしょう。

(注1)詳しくは↓をご覧下さい。

https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2016/160623_02/index.html

(注2)関節機能障害については7月9日のブログ↓、関節機能障害について をご覧下さい。

https://ameblo.jp/nozomi-20200303/entry-12609834473.html

腰椎すべり症

腰椎すべり症

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は腰椎すべり症についてお話し致します。

腰椎すべり症とは、上下に連なる腰椎が前後左右(主に前方)にズレることにより、背骨のなかを通る神経を圧迫して様々な症状を起こす病気です。

整形外科では足腰に痛みや痺れがあり、レントゲンやMRIで腰椎がズレていたり、神経を圧迫している画像を認めると、腰椎すべり症と診断します。腰椎のズレはレントゲンで把握できますが、神経の圧迫を見るにはMRIが必要です。

症状が脊柱管狭窄症と似ていることも特徴です。 

薬やリハビリ等で良くならないと手術を勧められることもあります。

手術は神経の圧迫を取り除き、腰椎がズレないように安定させるのが目的です。

また、腰椎がズレていることを問題とし、腹筋を鍛えるトレーニングやストレッチを勧めるところもあるようです。

望クリニックにいらっしゃる患者さんは、すでにMRIを撮っている方、手術を勧められている方、手術をしたのに痛みや痺れが良くなっていない方等、さまざまです。

治療では、前の病院で腰椎すべり症と診断されていても、「本当にすべり症が痛みや痺れの原因なのか?」という点から診ていきます。

これは、レントゲンやMRIですべり症が見つかっても、それが痛みや痺れの原因と判断するのは不十分な為です。

ここで、すべり症とレントゲンやMRIについて、多くの患者さんがご存知ない事実をお伝えします(これは前回のブログで取り上げた脊柱管狭窄症や、椎間板ヘルニア、分離症と考え方は同じです)。

①腰椎がズレていても、痛みや痺れがない方はたくさんいます(←コレ重要です!)

②いわゆる腰椎すべり症のような痛みや痺れがあっても、MRIを見ると異常が見つからないことがあります。

③手術でズレているところを治しても、痛みや痺れが良くなっていないケースが数多くあります。

つまり、痛みや痺れが強くてMRIにすべり症が写っても、それが痛みや痺れの原因とは言い切れないのです。

では、腰椎すべり症でなければ何が痛みや痺れの本当の原因か?

一般的な整形外科ではあまり知られていませんが、腰椎すべり症と同じような症状の病気に、関節機能障害があります。

(*関節機能障害については、2020年7月9日のブログをご覧下さい。)

私は腰椎すべり症が原因と診断された患者さんのなかに、本当は関節機能障害が原因の方が多く含まれていると考えています。

MRIを見てすべり症と診断された方でも、関節機能障害を治療すると痛みや痺れが良くなる患者さんが数多くいらっしゃるためです。

関節機能障害を治療しても、ズレている腰椎の位置が戻ることはありません。

痛みや痺れがよくなった後も、腰椎のズレはそのままなので、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であったと診断できます。

一方、関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。

すべり症が原因か? それとも関節機能障害が原因か? を見極めるには、関節機能障害を治療することが必要です。

関節機能障害が原因であれば、手術でズレている腰椎を元に戻しても、痛みや痺れはよくなりません。関節機能障害の治療が必要です。

これに対して、すべり症が原因の場合は手術が必要なこともあるでしょう。

では、なぜ整形外科では関節機能障害ではなく、腰椎すべり症と診断するのでしょう?

まず、関節機能障害という病気は比較的新しい考え方の為、一般的な整形外科ではまだあまり知られていません。

すべり症はレントゲンやMRIを見れば分かるのに対し、関節機能障害は目で見ることができず、見極めるには熟練した技術が必要です。

また、診断には関節機能障害を治療する必要があります。しかし、一般的な整形外科にはこの手段がありません。

そのため、本来は関節機能障害に該当する患者さんも腰椎すべり症と診断されているのです。

望クリニックでは、すべり症か関節機能障害かの診断と治療を兼ねて、AKA-博田法を行なっています。

AKA-博田法で一定期間治療することで症状が改善すれば、その症状はすべり症とは関係なく関節機能障害が原因であると診断出来るのです。この場合、腰椎のズレは痛みや痺れとは関係がないため治す必要はありません。

          

私の経験では、腰椎すべり症と診断される足腰の痛みや痺れのなかで最も多いのは、関節機能障害によるものです。

60代、男性、すべり症と診断された方のMRI:

     

AKA-博田法で治療した結果、時々無理をすると痛みが出るものの、日常生活は問題なく、過ごせるようになりました。

解説:良い時も無理をして痛みが出る時も滑っている状態は同じです。ということは、滑っているのは痛みと無関係と考えられます。こういったケースがとても多いのです。

特に、以下のような傾向がある場合は関節機能障害が疑われます。

・症状の程度や部位が日時により変わる。

・疲れると症状が酷くなる。

・風呂などで温めると緩和する。

なかなか治らずにお困りの方は、AKA-博田法を受診してみるのも良いでしょう。

腰椎すべり症で手術を勧められている方へ:その痛みや痺れの原因は関節機能障害が原因の可能性があります。手術の前にAKA-博田法を受診することをオススメいたします。AKA-博田法で良くなり、手術をせずに済むことが多々あります。

腰椎すべり症の手術をしたけど、良くなっていない方へ:手術をしても良くならないと、他に何をすべきか分からずにあきらめてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、手術をしても良くならない場合、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であった可能性があります。

AKA-博田法を受診してみると良いでしょう。

☆AKA‐博田法で関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。この場合、当院では手術も視野に入れ、手術実績の豊富な病院を紹介しています。

☆特に、排尿障害を呈する場合は、AKA-博田法ではなく手術が適応なことがあります。

変形性膝関節症の痛みについて

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今日は変形性膝関節症についてお話し致します。

厚生労働省によると、国内の変形性膝関節症患者数は推定で約3000万人です。

日本の高齢者(65歳以上)人口は、3588万人(2019年9月15日現在)なので、該当する方は多い病気と言えるでしょう。

この病気の主な症状は痛みです。他に関節の変形や腫れ、水が溜まることもあります。

一般的には、軟骨がすり減って骨と骨がぶつかり、炎症を起こして痛むと言われています。      

レントゲン写真を撮ると、軟骨がすり減り、関節の隙間が狭くなって見えます。

治療は保存療法と手術があります。

保存療法では、運動療法、薬物療法(ステロイドやヒアルロン酸の注射)、物理療法、装具療法(サポーターなど)があります。

太ももの筋肉を鍛えるトレーニングや、ストレッチ体操は運動療法としてよく知られています。

このブログを読んでいる方は、きっとこれらの方法では良くなっていない方でしょう。

痛みが長期化して、膝が硬くなり正座が出来ないという方もいらっしゃると思います。

これは痛みが続くことで、少しずつ膝が固まってしまうためです。

膝が固まり始めると、日常生活はさらに不自由になります。

しゃがむ動作が難しくなったり、膝が伸び切らないことで左右の脚の長さに差が生じ、歩く時に左右へ揺れるようになったりします。

なにより痛くて出来ないことが増えてしまいます。

こうして痛みが増し、良くならないと、医師からは手術を勧められることがあります。

膝を人工の関節に替える手術はご存知の方もいらっしゃるでしょう。

他に、関節内を掃除する関節鏡手術、脛の骨を切って角度を変えることで負担を軽減させようという骨切り術もあります。

手術で良くなる方はいらっしゃいますが、出来れば手術をせずに良くしたいものです。

 本当に手術しかないの? 

いろいろ治療しても良くならず、整形外科医に「手術しかない」と言われれば、患者さんもそう思うでしょう。

すり減った軟骨は通常再生しないため、このままでは治る希望がないためです。

しかし、変形性膝関節症の痛みの原因には、整形外科医も知らない病気があります。

それが関節機能障害です。

関節機能障害とは、目に見えない関節のなかの微細な動き(これを関節包内運動という)が悪くなり、滑らかに動かなくなっている状態です。

これが起こると、痛みやしびれ、こりといった様々な症状を発症します。

変形性膝関節症と診断された痛みのなかには関節機能障害が原因のものが少なからずあります。

しかし、この病気はレントゲンやMRIには写らないこともあり、整形外科の医師にはあまり知られていません。

そのため、本当は関節機能障害が原因の痛みでも、レントゲンやMRIでわかる半月板や軟骨のすり減りを痛みの原因と考える傾向があります。

望クリニックでは、関節機能障害の治療法としてAKA-博田法を行っています。

変形性膝関節症の場合、一般的には膝が悪いから膝が痛いと考えます。

しかし、AKA-博田法ではそのように考えません。

膝の痛みも、まずは骨盤にある仙腸関節の機能障害が根本の原因と考えます。

仙腸関節の機能障害が原因で、膝に痛みを発症しているという考え方です。

そのため、治療は仙腸関節から行います。

   

AKA-博田法で良くなれば、その痛みは仙腸関節の機能障害が原因であると診断します。

この様に、原因(この場合、仙腸関節)と離れた部位に起こる痛み(この場合、膝痛)のことを関連痛といい、

仙腸関節の機能障害が原因で起こるため、仙腸関節原性の関連痛と言います。

私の経験では、変形性膝関節症と言われた痛みの多くがこれに該当します。

AKA‐博田法で治療すると膝の痛みが良くなったり、膝に溜まった水が引いたり、膝が柔らかくなる方が数多くいらっしゃいます。

こうして、痛みを抑え込めれば手術は回避できるでしょう。

 筋力トレーニングやストレッチ体操は痛みが良くなってから 

一般的な整形外科では、変形性膝関節症の方に、太ももの筋肉を鍛えたり、膝のストレッチ体操をすすめることがあります。

筋力を鍛えて膝関節への負担を減らしたり、ストレッチ体操をして膝が硬くなるのを防ぐのが目的です。

しかし、AKA-博田法ではその様に考えません。

むしろ、そういった運動を控えるようにお願いしています。

確かに、筋力は強い方が良いし、膝関節も柔らかい方が良いでしょう。

しかし、痛い部分は鍛えても筋肉があまりつきません。また、鍛える体操が膝への負担となり痛みが悪化することがあります。

ストレッチ体操も、ストレッチをしたその時は柔らかくなっても、時間が経つと元の硬さに戻ります。

膝は痛みが原因で固まることがあるためです。

なかには、痛みを抱えた状態でストレッチ体操を繰り返すうちに、少しずつ硬さが進行するケースもあるのです。

共通している点は、痛みが良くなっていないのに運動しているということです。

運動をして症状が悪化してしまった方をたくさん見てきました。

筋力トレーニングやストレッチ体操は痛みが良くなってから行うと良いでしょう。

 半月板や軟骨のすり減りは痛みの原因ではない? 

40歳を過ぎると関節の老化が始まり、65歳を超えると痛くない方でも軟骨はすり減っています。

しかし、加齢により半月板や軟骨がすり減っていても痛くない人はたくさんいます。

つまり、これらのすり減りは、痛みの有無とは一致しないだけでなく、そもそも痛みの原因でないことが多いのです。

AKA-博田法で治療して痛みが良くなった後も、半月板や軟骨はすり減ったままです。

痛みを治すには軟骨を再生するのではなく、関節機能障害の治療が必要な場合があります。

様々な治療をためして良くなっていない方、手術を考えている方は、これまでの治療法とは視点を変えて、関節機能障害を治療してみるのも良いでしょう。

著書『腰痛ドック』が出版されました。

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医住田憲祐です。

本が西村書店さんより出版されます。

題名は『腰痛ドック』です。

この本は、副院長住田憲祐が、日刊スポーツで2016年12月から2017年3月にかけて監修した。『その痛み、治すのは整形内科医』のコラムを元に私と私の父住田憲是が加筆修正を加えたものです。

この『腰痛ドック』は、どのような方に対する本かと言いますと、

一度整形外科に受診したことがある方、手術を検討している、また手術を一度したがあまりよくならなかった。このような経験をお持ちの方に是非読んでいただきたい内容になっております。

おおまかな内容は、整形外科や色々な民間療法を行っても、なぜ腰痛が治らないのか。

整形外科でのレントゲンや、MRI等の画像検査では、原因をつきとめられる腰痛は実はほとんどなく、整形外科で診断できない腰痛の原因として『仙腸関節の機能障害』があること。

仙腸関節の関節機能障害の診断、治療の方法である、AKA-博田法の紹介

実際にAKA-博田法を受けた患者さんの紹介

特に腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの手術を検討している方は、手術をする前にこの部分だけでも一度読んでいただけたらと思います。

また、骨盤にある仙腸関節の動きの視点からみた、セルフケアの方法についても書いています。筋トレやストレッチをすることは、腰痛を改善するどころか悪化させることがあります。

仙腸関節の機能障害のセルフケアについて書いてある書籍はほとんどありませんので参考になると思います。

現在整形外科では、腰痛の85%以上は非特異性腰痛と言われ、原因がわかっていません。運よく、腰痛の治療がうまくいった方はよいのですが、上手くいっていない方は自分の腰痛の原因にあった、治療を探さなければいけない現状にあります。

この腰痛ドックで仙腸関節について知識を深めていただき、なかなか治らない腰痛を良くする糸口となれば幸いです。

以上、望クリニック住田憲祐でした。

仙腸関節の体操、仙腸関節のストレッチを勧める整形外科や整体院があるけど、それってどうなの?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は体操やストレッチのなかでも特に、「仙腸関節の体操」や「仙腸関節のストレッチ」についてお話し致します。

最近、整形外科でも腰痛の原因として、仙腸関節の異常が少しずつ注目されています。

仙腸関節が原因と考えれば、それに対する治療法や体操が出てくるのは当然です。

しかし、同じ仙腸関節の治療でも、仙腸関節の何を治療するのか?が重要です。

AKA-博田法の場合、治療対象は仙腸関節の機能障害です。

関節は互いの骨が接する部分を関節面といいます。そして、この関節面は関節包という袋に包まれています。

関節包内運動とは、この関節包の中で起こる微細な動きのことです。

関節機能障害とは、この関節包内運動が滑らかでない状態のことをいいます。

何故、関節機能障害を治療する必要があるかというと、これが起こると、筋肉の異常な緊張が起こり痛みやシビレを発症するからです。

治療は、ひとつひとつの骨に直接触れて行います。

           

仙腸関節のわずか1~3ミリの微細な動き(関節包内運動)を感じて滑らかに動くようにします。

つまり、仙腸関節周辺を動かせば良いのではなく、仙腸関節の機能障害を治療する(=関節包内運動を良くする)ことが大切なのです。

それゆえ、治療には熟練の手技が必要です。

他方で、異なる仙腸関節のアプローチもあります。

例えば、このブログのタイトルである、仙腸関節の体操や仙腸関節のストレッチといわれるものです。

他にも、仰向けに寝た状態で仙腸関節の下にボールの様な物を入れて動かす方法や、ズレを治すという方法もあるようです。

やり方は様々ですが、結果的には仙腸関節周辺や腰回りの筋肉の緊張が緩み、痛みが楽になるのでしょう。

これにより良くなっていれば、さらに治療する必要はありません。

しかし、良くなっていない方や、再発を繰り返す方は、要注意です。

体操やストレッチで仙腸関節周囲の筋肉が緩むことはあっても、仙腸関節の機能障害(=包内運動の異常)を治療することは難しいからです。

例えば、

仙腸関節の体操やストレッチをして腰痛が良くなったという方はいらっしゃるでしょう。

これは、体操等で腰周りの筋肉が緩んだことによる可能性があります。

その一方で、腰が痛くなかった方が腰痛になったり、元々の痛みが増すこともあります。

これは、仙腸関節に無理が加わり、肝心の機能障害が悪化したためと予想できます。

この様に、効果はまちまちで、仙腸関節にアプローチ出来たとしても、治療としては十分とは言えません。

とくに仙腸関節に炎症がある方が行うと、痛みが悪化する可能性は増します。

同じ仙腸関節へ働きかけると言っても、AKA-博田法とは全く別のことをしているケースが多いのです。

腰痛がなかなか良くならず、仙腸関節が原因かなと?感じたら、機能障害の治療は重要な選択肢の1つといえるでしょう。

最後に、関節機能障害の視点からみた体操をオススメします。

                  前後屈体操 

立位で軽く前後に身体を曲げ伸ばしします。

一見すると何をしているか分からないような体操ですが、この運動に伴い仙腸関節の包内運動が起こります。

前に深く曲げたり、後ろに反らせ過ぎると、かえって包内運動を悪化させる(関節機能障害を生じる)可能性があるため、軽く行うのがポイントです。

この体操は、AKA-博田法で治療したうえで行うと、比較的仙腸関節の包内運動を保ち機能障害を防ぐことができます。

簡単な体操なので、こまめに行ってみてください。

まとめ

・仙腸関節の体操やストレッチでは、仙腸関節周囲や腰周りの筋肉が緩み、痛みが緩和することがあります。

・仙腸関節の体操やトレッチは、仙腸関節の機能障害の治療にはなりません。

・仙腸関節の体操やストレッチ自体が仙腸関節への負担となり、痛みの原因になることもあります。

・仙腸関節の包内運動を保つ(=機能障害を防ぐ)体操としては、前後屈体操がお勧めです。

腰痛診療ガイドライン2019年について

こんにちは、望クリニック副院長の住田憲祐です。

今回は腰痛診療ガイドライン2019年から、腰痛の原因について、現在の整形外科では一般的にどのような考えが主流なのか。

また、それに対する私の考えを話していこうと思います。

腰痛ガイドライン2019年版は、日本整形外科学会と日本腰痛学会が監修した本です。

一般的な整形外科の腰痛診療に対する考え方が書いてあります。

よく腰痛の85%程度が原因不明であるという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは、この7年前に出版された2012年の腰痛診療ガイドラインに記載されていた話で、もともと欧米の雑誌から引用されたものです。

これに対して、2019年度版のガイドラインにはこう書かれています。

・その根拠は米国の総合診療医に情報を統合されたものであるため、その正確性と詳細は不明である。

・近年鈴木医師により発表された、腰痛の原因を調査した報告によると、椎間関節性22%、筋筋膜性18%、椎間板性13%、狭窄症11%、椎間板ヘルニア7%、仙腸関節性6%と75%以上で診断が可能であるという研究が出てきた。これにより、腰痛の85%は非特異的腰痛であるという事については再考する必要があると書かれています。

この内容を踏まえて、私の考えをこれからお話いたします。

まず、仙腸関節が原因の腰痛が認知されてきていると感じました。

以前は、腰痛の原因として仙腸関節があげられる事すらほとんどありませんでした。

仙腸関節性の6%は、椎間板ヘルニアの7%とそう変わらない数字です。ヘルニアと同じくらい仙腸関節が原因と腰痛があると考えると、かなり多いように感じるのではないでしょうか。

しかし、この研究では仙腸関節が原因である腰痛の一部しか診断できていないと考えます。なぜなら、このガイドラインで書いてある研究は、仙腸関節を診断する方法として仙腸関節に局所麻酔薬を注射する、仙腸関節ブロックを用いているからです。

その証拠に仙腸関節ブロックが全く効果なく、仙腸関節は問題ないと他の整形外科の医師に言われた方でも、AKA-博田法で仙腸関節を治療すると腰痛が楽になり、仙腸関節が原因であったという患者さんが当院に数多くいらっしゃっています。

仙腸関節ブロックでは、仙腸関節の動きを評価できません。その為、仙腸関節の原因である腰痛の一部、6%しか見つけられなかったのではないかと私は考えています。

またこの研究の平均年齢は55.7歳とされています。

仙腸関節は、40歳を超えてくると加齢による影響で関節の軟骨がすり減ってくるため、徐々に関節の機能障害が起きやすくなってくると言われています。

この研究に参加した患者さんのほとんどに、仙腸関節の軟骨がすり減り、動きが悪くなり、仙腸関節の機能障害があってもおかしくはありません。

例えば、狭窄症と診断された方が、実は仙腸関節の機能障害も引き起こし、仙腸関節も痛みの原因となっていた。

ヘルニアと診断された方が、仙腸関節の機能障害も引き起こし、仙腸関節も痛みの原因となっていた。

このようなケースもあったのではないでしょうか。

事実、このような患者さんが当院には多くいらっしゃいます。

他にも、気になるのは腰痛の原因として椎間関節性の22%と筋、筋膜性18%についてです。

この2つは仙腸関節の関節機能障害が起きると、以下の2つの現象が起こる事を博田節夫先生が発見しています。

①椎間関節の関節の動きが悪くなり、機能障害がおこる。特に腰椎の椎間関節は仙腸関節機能障害が原因で動かなくなってしまうことがほとんどである。

②腰周辺の筋肉等の軟部組織の異常な収縮がおこる

仙腸関節の機能障害により起こる①、②の現象は、椎間関節、筋筋膜性の腰痛と非常に似ています。そのため、私は、椎間関節性、筋筋膜性の腰痛あわせて40%も仙腸関節の機能障害と密接な関係にあると言えると思います。

私の考えとしては、仙腸関節の機能障害が椎間関節、筋筋膜由来の腰痛のほとんどを引き起こすと考えております。

まとめです

・腰痛診療ガイドライン2019年版で、腰痛の原因として椎間関節性22%、筋筋膜性18%、椎間板性13%、狭窄症11%、椎間板ヘルニア7%、仙腸関節性6%。75%以上で診断が可能であるという研究について掲載されました。

仙腸関節由来の腰痛が6%という結果になっています。以前より仙腸関節性の腰痛が認知されてきています

しかしながら、仙腸関節ブロックで診断できる仙腸関節由来の腰痛は一部にとどまります。

AKA-博田法のような仙腸関節の動きについて評価できる診断方法を用いていたら、違った結果になったのではないかと考えられます。

腰痛とストレッチ体操について ストレッチ体操で仙腸関節の動きはよくなりません

こんにちは、望クリニック副院長 AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は腰痛とストレッチ体操についてお話し致します。

高齢になるに従い、からだは硬くなっていきます。

患者さんからは、

「硬くなったらストレッチをしたほうがいいの?」

というご質問を受けることがあります。

私は、「ストレッチ体操で安全にからだを柔らかくすることは難しいです。痛い時は治療を優先する時期なので、ストレッチ体操は控えて安静にして下さい。そして、良くなったら無理のない範囲で行うのは結構です」とお答えしています。

つまり、痛い時は治療を優先し、ストレッチ体操はお休みして頂きます。痛みが良くなっても積極的にはオススメしていません。

例えば、腰痛は腰周りの筋肉が硬くなっている状態を痛みと感じていることがあります。そのため、ストレッチ体操をすると、腰回りの筋肉が緩んで痛みが楽に感じたり、腰の曲げ伸ばしが良くなったりして身体を柔らかく感じることがあります。

これを患者さんは関節が柔らかくなったと感じるのでしょう。

ストレッチ体操は筋肉を緩める1つの手段であり、それにより痛みがなく元気が保てていれば良いでしょう。

問題はそれでは良くならない腰痛です。

この場合、ストレッチ体操を続けることに疑問があります。

また、身体が硬いことと関節の動きが悪い事は、必ずしも一致している訳ではありません。例えば、身体は柔らかいのに仙腸関節の動きは悪く、固まってしまっていることもあるので注意が必要です。

ストレッチで柔らかくなるのは主に関節の周りの筋肉です。動きの範囲が広がったり柔らかくなった感じがしても、関節の動きそのものは良くなっていないこともあります。

では、関節の動きをよくするにはどうしたら良いのでしょう?

例えば病院のリハビリを思い出して下さい。怪我等で硬くなった関節の動きをよくする運動を、リハビリの先生にやってもらったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

関節の動きをよくするには、他の人の手により行う方が望ましいです。

自分で行う運動や体操は、安全性や有効性に疑問があるからです。

望クリニックでは、関節の動きをよくする手段として、AKA-博田法を取り入れています。

AKA-博田法とは、1つ1つの骨に触れて関節の中の動きを滑らかにする治療方法です。

関節が動作に伴い動く時、その中で起こる動きを関節包内運動といいます。

関節包内運動が滑らかでない(動きの悪い)状態を関節機能障害といいます。

関節機能障害は全身の関節に起こり得ますが、なかでも骨盤にある仙腸関節の機能障害は、腰痛の原因の1つとして知られています。

私が患者さんにストレッチ体操を積極的に勧めない理由は、ストレッチ体操自体が仙腸関節の機能障害を起こし、腰痛を発症することがあるためです。

特にストレッチ体操を続けていてもなかなか良くならなかったり、腰痛を繰り返す場合は、すでに仙腸関節に機能障害を起こしている可能性があります。

例えば、長年の腰痛に苦しんでいるバレリーナの患者さんは、身体は非常に柔らかいのですが、仙腸関節の動きは悪く、とても硬くなっていました。つまり、ストレッチ体操をしても仙腸関節は柔らかくなっていなかったのです。

このように、ストレッチ体操は

腰痛の治療という点でオススメできません。先ずは痛みをしっかりと治療すると良いでしょう。

※仙腸関節体操、仙腸関節に対するストレッチを勧める整形外科や整体院があるけど、それってどうなの?と思う方もいらっしゃると思います。これについては、また別の機会に書こうと思います。

まとめ

・ストレッチ体操は腰痛の治療ではなく、痛くない方がリラックスや心身の健やかさを保つために無理のない範囲で行うのはよいでしょう。

・ストレッチ体操で柔らかくなるのは主に筋肉で、腰痛の原因となる仙腸関節の動きそのものは柔らかくなりません。

・ストレッチ体操をしても腰痛を繰り返す方は、AKA-博田法で仙腸関節を治療してみるとよいでしょう。

股関節の痛みを治す方法について

こんにちは、望クリニック副院長、AKA-博田法指導医住田憲祐です。

今回は、股関節の痛みを治す方法についてのお話です。

股関節の痛みを治す方法として、これまでどのような治療を受けてきましたでしょうか。

痛み止め、湿布、温熱、電気、鍼灸、整体、マッサージ、筋トレ、ストレッチ等いろいろな治療があります。

整体やストレッチ、筋力トレーニングについて説明されている動画も非常に多いです。

この動画では、般的な方法をやってきたがなかなか股関節の痛みがなかなか良くならない、何か治す方法がないものかと思っている方に役立つ内容になっております。

望クリニックには、色々な治療をしてきたがなかなか股関節の痛みがよくならない患者さんが数多くいらっしゃいます。

一般的な治療、病院では薬の処方、温熱、電気等のリハビリ。病院以外では、鍼灸、整体、マッサージ、筋トレ、ストレッチの様な方法を一通り経験してからいらっしゃる方が多いようです。

普通、これだけ色々な治療をしてきた患者さんですと、もう治療する方法がないと考えるかもしれません。

そのような方でも、多くの場合まだ治療をしていない場所があります。それが関節包内運動です。

関節包内運動は、2種類あります。

①骨の運動に伴って起こる構成運動

②骨の動きと関係なく起こる副運動       です

特に痛みの治療には副運動の治療が大事になってきます。

もしかしたら関節の動きをよくするような体操、リハビリ、整体はこれまで幾度となく試してきたという方もいらっしゃると思います。

しかし、私の経験では、ほとんどの方はこの副運動の治療が正しく行われてきてないようです。

副運動の治療は、筋肉がリラックスした状態で熟練した他者の手で行わないと難しいからです。

他者の手によりというのがポイントです。

簡単に言うと自分で体操やストレッチを一生懸命に行っても副運動の治療にはならないということになります。

副運動の治療は他人にやってもらう必要があるということです。

また、どの関節の副運動を治療するのが股関節の痛みに有効かという問題もあります。

ふつう、股関節の痛みだから当然股関節を治療すると考えると思います。

そこも実は落とし穴です。

股関節よりも、仙腸関節の方が股関節周辺の筋肉のこわばりに関係するということがAKA-博田法の開発によりわかったのです。

筋肉の異常なこわばりを、股関節の痛みやはり、歩きづらいという症状として感じる事が多いようです。

残念ながら、股関節の副運動は、股関節の痛みに対してあまり有効ではないことが多いようです。

これが、整体やリハビリなど専門家による治療を受けている方でも、なかなか股関節の痛みが良くならないというケースが多い理由だと考えております。

実際の治療は、

主に右股関節なら右の仙腸関節、左股関節なら左の仙腸関節の副運動を治療します。

仙腸関節の機能障害が股関節の痛みの原因かどうかは、AKA-博田法で治療した後に、股関節の痛みが良くなっているかどうかで判断します。5回位の治療の間に、症状に変化が出てくる方は、治療を続けていくことで股関節の痛みが出にくくなっていくケースが多いようです。

まとめ

股関節の痛みには、実は股関節よりも仙腸関節の方が関係している事が多いので注意が必要です。

AKA-博田法が他の治療と違う点は、2つです。

① ストレッチや体操等自分で行う運動ではよくする事ができない関節包内運動の副運動を治療すること

② 通常のリハビリ、整体等で治療していない仙腸関節を治療すること

仙腸関節の機能障害が起こると、股関節周辺の筋肉のこりやはりが起こり、股関節の痛みの原因になります。

これまで、色々な治療を試してきたが股関節の痛みがなかなか良くならず困っている方、仙腸関節の機能障害についてみてもらったことがありますでしょうか。もしないようであれば、AKA-博田法医学会の指導医のような専門の医師へ受診することをお勧めいたします。

このチャンネルでは、腰や膝、肩等の整形外科的な痛みやしびれで困っている方に対して有用な情報をお送りしております。もしよければ、他の動画もみていただけたらと思います。

以上、望クリニック 住田憲祐でした。