年別アーカイブ: 2021年

家事と腰痛

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

「夕飯の支度をしていると腰が痛くなる」

「掃除機を掛けると腰が痛くなる」

こういった症状は女性の患者さんからよく聞きます。

総務省の「平成 28年社会生活基本調査 詳細行動分類による生活時間に関する結果」によると、

家事労働時間は女性で2時間57分。これに対し、男性は40分です。

そのうち、食事の管理にかける時間は女性は51.1%、1時間28分、男性は12分です。

女性は家事労働の約半分、一日の中で約1時間半近くを毎日食事の管理にかけている状況です。

これに続いて多いのが住まいの手入れ、整理。つまり、掃除に該当するものです。

この様に料理と掃除は、家事労働のトップ2を占めており、これらが痛みのきっかけとなることは納得できます。

患者さんによると、食事の支度に伴う痛みやシビレは、朝食よりも夕食の時の方が多いようです。

これは、1日の疲れや仙腸関節への負担が夕方の方が多くなるためでしょう。

また、掃除機掛けは中腰姿勢に近い為、仙腸関節へ負担となることが多く痛みの原因になりやすいのです。

            

望クリニックでは、治療期間中は”安静”を心がけて頂くようにお願いしております。

安静の目安は、ご自分の症状です。

痛みやシビレ等の症状は、その方にとっての安静の範囲を超えたサインです。

痛みやシビレ等の症状なければ、その方にとっての安静が維持できていると考えて良いでしょう。

必要な労働は、身体からのサインに従って、ご自身にとって楽な方法で行って下さい。

また、横になる時間が取れる方は、家事の合間に20分位横になる時間を作ることも仙腸関節の安静になり効果的です。

常につらいという方は、仙腸関節の状態がかなり悪いと考えられます。

ここで、無理をすると治りが遅くなるだけでなく、悪化することもあります。

出来るだけ横になって安静を心掛けて下さい。

治療期間中は安静をオススメしていますが、生活に必要な労働があります。

その場合、症状を目安にして楽な方法で行い、負担は最小限に留めて下さい。

例えば、

夕飯の支度は一度に行なわず、休みながら行ってみて下さい。

掃除機をかける時は中腰ではなく、少し威張ったような姿勢で行てみて下さい。

不便にはなりますが、治療期間中は、痛みが良くなることを優先した生活スタイルにして頂ければと思います。

私たちも全力で治療しますので、皆様も無理をなさらないようにして下さい。

座りっぱなしと腰痛・肩こり

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

2020年4月7日に初めて緊急事態宣言が発令(5月25日に解除)されて約1年が経ちます。

巣ごもり自粛と言われるように、極端に外出が減った方、在宅勤務に変わった方等、生活様式が変わった方も多いことでしょう。

当院の患者さんだと、ご高齢の方は自宅で座ってテレビを見ている時間が増えたということを聞きます。

会社員の方では、在宅勤務に移行した結果、通勤せずに楽になったという方もいらっしゃる一方で、自宅で仕事をするようになり、腰痛や肩こりが増えたという方もいらっしゃいます。

自宅は仕事をする仕様になっていないため、机やイスが合わず発症する方、通勤時間の分も仕事をして公私の区別が曖昧になり、負担が増えている方もいらっしゃいます。

東京医科大学公衆衛生学分野の福島教照講師らによると、在宅勤務では、職場勤務に比べ、仕事中に座っている時間は1時間以上長く、身体を動かす時間は約30分間短くなっていることが分かりました。

当院の患者さんも、ご高齢の方、会社員の方共に座りっぱなしが増えた方が多いようです。

机やイスは好みも影響するため、明確な良し悪しの基準がありません。

ご自分が使用して楽なものがその方に合ったものです。

しかし、ご自分に合ったものでも、長時間座りっぱなしでいると腰痛や肩こりを生じます。

立っている姿勢の椎間板内圧(腰にかかる負担)を100とすると、座っている姿勢での負担は140と言われています。このように、座っている姿勢は腰への負担が大きく、仙腸関節にもよくないことが分かります。

つまり、この様な症状は仙腸関節の機能障害が原因のことが多いのです。

こまめに姿勢を変えたり、前後屈の体操(イラスト)をなさって下さい。

ブログを始めたきっかけ

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

ブログを始めて一年が過ぎました。

いつもご覧いただきありがとうございます。

このブログは、AKA-博田法をより広く知って頂き、不要な手術や、痛みやシビレに困る患者さんが減って欲しいという思いで始めました。 

2020年6月24日のブログでご紹介したように、2019年、整形外科学会の腰痛ガイドラインでは、腰痛の6%が仙腸関節が原因と認めています。

以前は仙腸関節が原因の腰痛という考え方すら無かったため、この点は少し前進していると言えます。しかし、わずか6%とは少な過ぎます。

まだまだ腰痛に対する考え方はあまり変わっておりません。

まして、首肩や膝、股関節、手足といった腰以外の部位の症状も

仙腸関節が原因と理解されるのは、しばらく先のことでしょう。

AKA-博田法の考え方がなかなか浸透しないのは、従来の整形外科の考え方とは大きく異なること。そして、AKA-博田法の技術が難しいことにあります。

頭で理屈が分かっても、技術が上達しないと治せるようになりません。

しかし、どんなに難しくても、仙腸関節が根本原因であれば、治療するしかありません。

今後も診療しながら発信していく必要があると考えています。

痛みについて疑問や不安なことがあれば、次の治療時にお伝えください。

一人の方の疑問は、他の方にとっても疑問であったりします。

診療時に頂くご質問はブログでも発信していきたいと思います。

今後とも望クリニックのブログをよろしくお願い致します。

「安静にしていると筋力が弱り動けなくなる」「筋力が弱くなると痛くなる」と思っている方へ

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

ご高齢の患者さんから、

「筋力を鍛えないといけないの?」

「筋力が弱ったから痛くなったの?」

「安静にしていると筋力が弱って動けなくなるのでは?」

このようなご質問が多くあります。

数あるご質問のなかでも、筋力低下に関するものは、最も多いかもしれません。

TV番組等でも、健康を維持するために積極的な運動を推奨しています。

そのため、筋力トレーニング、ストレッチ体操等の運動には良いイメージを持つ方が多いのでしょう。

筋力が強ければ大丈夫!

逆に、「安静→筋力低下→動けなくなる、痛くなる」と考えてしまうようです。

では、筋力の強いスポーツ選手に痛みに困っている方が多いのは何故でしょう?

それは筋力が強くても、痛みの治療や予防にはならないためです。

特に痛みやシビレがなければ運動は健康にとって良い面もあるため、無理のない範囲で行うと良いでしょう。

痛みやシビレがある方でも、運動をすると一時的に症状が緩和するという患者さんもいらっしゃいます。

整形外科的な痛みやシビレは、筋肉の異常な収縮(緊張)を症状として感じていることが多いため、運動をして筋肉が一時的に緩むと楽になることがあるためです。

しかし、一時的に楽になってもしばらくすると再発し、慢性化する場合があります。

これは痛みの根本原因である仙腸関節の状態は良くなっていないためです。

なかには、運動と再発を繰り返すうちに徐々に悪化することもあります。

特に望クリニックの患者さんのように、いろんな治療を受けて良くなっていない方はそうです。

筋力が弱くなったから痛いのではないため、あえて鍛える必要はありません

また、痛みを避けて安静にしていても、それなりに普通の生活をしていれば、筋力が弱って動けなくなったり、身体が固まるといったこともありません

歩けなくなる原因は筋力低下ではなく、痛みやシビレをしっかりと治さないでいることによる方がずっと多いのです。

痛みやシビレの原因には様々な病気がありますが、見逃されやすく、かつ多いものとして、仙腸関節の機能障害があげられます

これに対しては、仙腸関節を治療することが必要です。

私が筋力トレーニングをおススメしないのは、筋力トレーニング自体が仙腸関節への負担となり、症状を悪化させる可能性があるためです。

痛みやシビレの治療中は、筋力トレーニングよりも仙腸関節の安静を優先するようにおススメします。

★You Tube 関連動画

 【腰の痛い方がストレッチをするとかえって治らない場合があります】

https://www.youtube.com/watch?v=-zlKFrDV5r8

痛くなったら温める?それとも、冷やす?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

痛みやシビレが強くなった時、温めた方が良い?それとも、冷やした方が良い?  

の疑問にお答えします。

治療期間中に患者さんの症状は、強くなったり、弱くなったりと変化することがあります。

また、治り途中でも何かのきっかけで、症状は強くなることがあります。

この場合、温めるか冷やすかで迷うことがあるでしょう。

今回のブログでは、「普段の症状がちょっと強くなった状況」という前提でお考え下さい。

この場合、なんらかのきっかけで、仙腸関節の動きが悪くなったり、炎症が広がったりしたと考えます。

患者さんの対処法としては、温めた方が良いでしょう。

炎症が広がったのに温めて良いの?と思うかも知れませんが、

筋肉や関節の痛みで冷やした方がいいのは、打撲や捻挫の様な怪我の炎症の初期です。

通常、仙腸関節炎による症状は温めた方が良いのです。

温めるのは、症状が強くなっている部位です。

例えば、膝痛であれば膝を、肩痛であれば肩を温めて下さい。

お風呂でよく温めたり、カイロを貼ったりするのも良いですね。

温めることで筋肉の緊張がゆるみ、症状が緩和することがあります。

仙腸関節の動きが良くなるわけではありませんが、対処法としては良いでしょう。

温めて一時楽になっても、根本の仙腸関節が治った訳ではないので、無理をなさらない様にご注意下さい

一方で、温めない方が良い場合もあります。

例えば、痛む部位が赤くなって熱を持ち、腫れている場合などがそうです。

この場合、感染等の可能性も考えられます。自己判断で温めるのはおやめください。

また、ギックリ腰の様な場合も、温めるか冷やすかではなく、安静を保ち出来るだけ早い時期の受診をオススメ致します。

稀に冷やした方が楽になると言う方がいらっしゃいます。

この場合は、冷やして頂いても結構です。しかし、冷やした方が楽になる場合のみとお考え下さい。

個々のケースにより異なるため、疑問を感じた方は、次回の受診時にお尋ね下さい。

枕や布団はどんなのが良い?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は患者さんのご質問をブログに取り上げました。

ご質問は、

「枕は高いのと低いのどちらが良いの?」

「布団は硬いのと、柔らかいのどちらが良いの?」

です。

例えば、枕が肩凝りに関係があると考え、いろいろな種類を試している方がいらっしゃいます。

また、腰痛に良いと言われる高価なマットレスを買ったという方もいらっしゃいました。

寝具には個々人の好みも含まれるため、一概に良し悪しは言えません。

通常、極端でなければ布団や枕の高さ、厚み、硬さは医学的な問題にはならないため、あまり気にせず寝やすいもので良いと思います。

あえて、仙腸関節の観点から言うと「その方にとって寝返りしやすいものが良い」と言えるでしょう。

寝返りが少ないと長時間同じ姿勢となり、その間に仙腸関節の動きが悪くなることがあるためです。

寝返りをするためにわざわざ起きる必要はありませんが、気がついたら寝返りすることは良いでしょう。

布団や枕が原因だと思っている腰痛や肩凝りも、先ず仙腸関節を治療してみることです。

仙腸関節を治療して良くなれば、寝具はあまり気にする必要はありません。

寝ている時よりも、起きている時(立位や座位)の方が仙腸関節への負担は大きくなります。

寝具の種類よりは、起きている時間帯の過ごし方に注意しましょう。

こんな痺れが良くなる?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回のテーマは「痺れ」です。

痺れについては以前(2020年12月1日の https://ameblo.jp/nozomi-20200303/entry-12638540637.html)のブログで取り上げましたが、今回は少し角度を変えてお話ししていきます。

以前のブログでは、痺れを発症する疾患を挙げ、主な原因は

①関節機能障害によるもの

②神経が原因となっているもの

の2つがあるとしました。

そして、①か②の見極めにAKA-博田法が必須であることもお話ししました。

このことを踏まえた上で、では

どんな痺れがAKA-博田法で良くなりそうか?についてお話し致します。

まずAKA-博田法で良くなりそうな痺れ(=関節機能障害が原因の痺れ)の特徴は、その痺れに強弱があったり、痺れの部位が変わったりすることです。

つまり、変化する痺れです。

いつも痺れているという方も、丁寧に痺れの部位や時間帯、きっかけとなる動作などをうかがうと、ほとんど場合、痺れの様子には変化がみられます。

例えば

・痺れは強い時と弱い時がある

・普段は痺れていないけど、働いているうちに痺れてくる

・お風呂にゆっくり温まると痺れが緩和する

・寒いと痺れが増す

・無理をして疲れると痺れが増す

・のんびりとソファで横になっていると緩和する

・一定時間同じ姿勢でいると痺れが増す

・長時間働いたりすると痺れが増す

・痺れの部位が以前とは少し変わってきた

・日時、姿勢の状況により痺れ方が違う

 等々です。

この様な痺れは関節機能障害が原因のことが多いようです。AKA-博田法で治療してみると良いでしょう。

一方で、痺れの強さや部位が常時一定の場合は、関節機能障害が原因だけではなく、神経の障害の可能性もあります。

この場合は、一定期間AKA-博田法で診断、治療していきますが、神経の障害も考慮しつつ、より慎重にみていく必要があります。

ご自身で痺れの傾向を観察してみて下さい。

疑問や不安な点があれば次回の治療時にお尋ね下さい。

寒いと痛みが強くなるのはなぜ?

こんにちは。

望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今年もよろしくお願いします。

さて、今年初めてのブログは、寒さと痛みについてです。

冷えると痛みや痺れが強くなる。

冬の方が痛みが強い。

お風呂に入ると楽になる。

こう訴える患者さんは数多くいらっしゃいます。

診療していても、暖かい時よりも寒い時の方が調子の悪い方が多いのです。

では、なぜ寒いと痛みや痺れといった症状が増すのでしょう?

望クリニックの患者さんの多くは、仙腸関節の機能障害によって生じた筋肉の異常な収縮(緊張)を痛みや痺れ、コリ、突っ張りなどの「症状」として感じています。

つまり、筋肉がギューッと硬く収縮(緊張)している状態を、それぞれの部位で、様々な症状として感じているのです。

筋肉はその性質から、冷えると収縮(緊張)が強くなります。

そのため、寒い時期の方が痛みや痺れといった症状が増す傾向があります。

お風呂でよく温まると症状が緩和するのは、温まることで筋肉が緩むためです。

患者さんには日頃からお身体を冷やさないように気をつけて頂きたいと思います。

しかし、大切なのは痛みや痺れはただ温めれば良いという訳ではありません。

そもそも、仙腸関節が悪くなり発生した筋肉の収縮(緊張)が、寒さにより割り増しになっています。

つまり、仙腸関節をしっかり治療したうえで冷やさないようにすることが大切です。

温めるだけで一時しのぎをして、肝心の治療をしなければ症状の改善は難しいでしょう。

これから冬本番となります。

AKA-博田法でしっかりと治療して、養生としてお身体を冷やさないようにお気をつけ下さい。

P.S . 緊急事態宣言が出されました。皆様におかれましては、感染に注意してお健やかにお過ごし下さい。

望クリニックでは、皆様が安心して受診して頂けるよう、感染対策に万全を期して診療しております。