2020年11月6日(金) 読売新聞 [からだの質問箱]について

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

2020年11月6日(金) 読売新聞

[からだの質問箱]に仙腸関節が関係する痛みについての質問が掲載されました。

この記事では、尾てい骨付近の痛み(臀部痛)を仙腸関節が原因としています。

診断・治療は仙腸関節へ局所麻酔薬を注射するブロック治療を主に、ゴムベルトやAKA-博田法も有効としています。

望クリニックでも仙腸関節の炎症をとる注射をする場合があります。

しかし、それ以上に重要なのは、仙腸関節の動き(この記事では「ズレ」と表記)を良くすることです。注射は仙腸関節の動きはよくするには不十分です。

AKA-博田法は、術者の手で直接仙腸関節に触れてこれを治す治療法です。

仙腸関節の動きを良くすると、尾てい骨付近の痛みに留まらず、身体のあちこちに起こる整形外科の痛みや痺れ、こり等の診断・治療が出来ます。

仙腸関節は動かないとされていた頃と比べると、ここが痛みの原因と認められてきたことは、前進といえるでしょう。

私も不要な手術を少しでも無くすために、AKA-博田法での診療、教育を頑張っていこうと思います。

痛みや痺れを繰り返している患者さんへ

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。


寒くなるに従い、具合が悪い方も増えています。

今回は特に再発しやすい方に向けたブログです。

まず、AKA-博田法では、患者さんがお困りの症状を仙腸関節の状態により、以下の3つに分けています。

                                                               
 ①関節機能異常: 仙腸関節の動きが悪いだけの方。1~2回の治療で3週間以内に良くなります。


 ②単純性関節炎: 仙腸関節が動きが悪いのに加えて、炎症を起こしている方。月1~2回の治療で3ヵ月位で良くなります。


 ③関節炎特殊型: 仙腸関節が動きが悪いのに加えて、自律神経の失調を伴う炎症がある方。
身体のあちこちに痛みや痺れ等の症状を発症し、冷えやむくみ、ほてり等の自律神経の失調症状を抱える方に多く見られます。
治療当初は、あまり改善を感じない方もいらっしゃいますが、その多くは治療を始めて2~3ヵ月位すると改善し、軽減はしますが、再発を繰り返します。
このタイプには老化によるものと、体質的に関節が弱いものがあり、AKA-博田法で治療しても関節の動きは完全には回復しません。そのため、完治は難しいですが、症状をより少ない状態で保つことが出来ます。

この①~③のどれに該当するかによって改善の仕方が違ってきます。

特に③の関節炎特殊型の方は、仙腸関節が硬くなっており、治療で動きを良くしても、無理をするとまた動きが悪くなってしまいます。
そして、症状は緩和しても完治には至りません。また、③の方でなくても、仕事やスポーツで日常的に身体を酷使している方はなどは、良くなっても無理をすると再発することもあります。

つまり、治療後一定期間症状は楽になりますが、日時が経つと症状が再発してしまう方がいらっしゃるのです。

私達も完治を目指して治療していますが、残念ながらそこまで至らないことがあります。
この場合、お仕事や好きなスポーツ、より充実した生活を楽しむため、より楽に過ごせるために定期的な治療が必要となります。
完治しなくても、症状が当初より3分の1や4分の1に抑え込めれば、大分楽に過ごせたり、好きなことに取り組める割合は高くなります。

なにより、症状が改善する以上、仙腸関節が原因のため、治療を続ける必要があります。

痛みや痺れを繰り返している患者さんは再発しない様に日常生活動作を気をつけて頂くと同時に、より痛みを少ない状態を保つ、「関節のお手入れ」という視点でAKA-博田法を受けて頂ればと思います。

AKA-博田法の適切な治療頻度、間隔について

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回はAKA-博田法の治療頻度についてお話し致します。

AKA-博田法の治療頻度は2週間から4週間に1回です。
時々、患者さんから「そんなに治療の間隔を開けて大丈夫なの?」といったご質問を受けます。
特にAKA-博田法では強い力で押したりしないため、治療された感が乏しく、そう考える理由かも知れません。

しかし、治療は優しい力で行いますが、身体に与える影響は意外に大きいのです。

そのため、良くなる方がいらっしゃると同時に、一時的に痛みなどの症状が強くなったりする可能性もあります。

2週間の間隔を開けるのは、仙腸関節の炎症の状態を考慮した結果です。
2週間よりも治療間隔を狭めると、かえって治りが悪くなることがあるためです。
当院の患者さんはいろんな医療機関を受診しても良くなっていない方ばかりです。

比較的重症度が高く、長期的に患っている方も多くいらっしゃいます。

仙腸関節は動きが悪いだけでなく、慢性的な炎症を起こしている方が多いのです。

治療では、炎症を起こしている仙腸関節を動かすことになります。
仙腸関節を動かさないと治療出来ませんが、動かしたことが刺激となり炎症が拡がることがあります。
(これに伴い、治療後稀に一時的に症状が強くなることもあります)

刺激された炎症が落ち着くのには、安静にして2週間位かかります。そのため、治療間隔は2週間は空けるようにしています。

一方で、治療間隔を空けすぎるのも良くありません。

関節は治療を重ねるうちに徐々に炎症が減って、動きが良くなって来ます。
しかし、良くなる途中で治療間隔が空き過ぎると、良くなるスピードよりも再発するスピードが勝り、思うように良くなっていきません。
より良くなっていくためには、1ヶ月以上の間隔を空けないようにすることも大切です。

この様な理由から、適切な治療間隔は2週間から4週間に1回とお勧めしています。

では、2週間から4週間の間でどのくらいの間隔が良いのか?
これは、関節の状態、患者さんの症状、日常生活動作等を総合的に判断します。
そのため、同じ患者さんでも状況により治療間隔が変わることがあります。

もし、ご不明な点がございましたら、受診時にお尋ね下さい。

ストレートネックと肩こり

今回は若い女性の肩こりの原因と言われているストレートネックについてお話し致します。

30代 女性

 初診時の症状 

肩こり、首が常に痛む

20年前より両肩こりと痛み

5年前より首が痛む

仕事はデスクワークでずっとパソコンを見ています。
上を向いたり下を向くだけでも痛みます。
こりや痛みで気持ちが沈み、鬱っぽくなることもあります。

前の病院ではストレートネックといわれました。
他に病院以外では整体へ通いましたが、良くならずに当院に御来院。

 AKA-博田法による治療経過 

2回目:前回後、治療直後は首の痛みは良かったが、すぐに元の痛みに戻りました。

3回目:首が以前より楽になり、

上下に動かすのも楽になりました。

6回目:7割くらい改善

現在:痛みは感じるも、日常生活には困らなくなりました。

症状が良くなるにつれて、鬱っぽくなることがなくなり、気持ちも晴れやかになりました。

 考察 

肩こりについては、9月16日のブログでお話し致しました(注1)。

正常な頚椎は横からレントゲンを撮ると、前側に緩くカーブしています。

これを生理的弯曲といって、曲がっていることで衝撃を吸収し、負担が掛かりにくい構造となっています。

ストレートネックとはこの方のように、この彎曲が無くなり、頚椎が真っ直ぐになっている状態を指します。
一般的な整形外科では、これにより頚椎への負担が増し、それを支えるために筋肉が強く緊張してこりや痛みを感じると考えます。
頚椎が真っ直ぐになっているため、医師からこのように説明されれば納得される方も多いでしょう。

しかし、頚椎が真っ直ぐであることが原因となって、こりや痛みを発症するということはほぼありません。
つまりストレートネックが原因と言われる肩こりの多くは、本当はストレートネックが原因では無いのです。

AKA-博田法では、ストレートネックと言われた患者さんの首肩のこりや痛みの原因は、骨盤にある仙腸関節にあると考えます。
仙腸関節が機能障害を起こしたことで、頚椎の関節の動きが悪くなり、それにより首や肩の筋肉が硬く緊張して、こりや痛みといった症状として感じているのです。
そのため、治療は根本の原因である仙腸関節から行います。
治療を重ねるに従い、症状が改善していることから、この方の肩こりの原因は仙腸関節にあったと言えるでしょう。

何を症状の原因と見極めるか?これが診断です。そして、治療は診断に基づき行われます。頚椎が真っ直ぐなことが原因であれば、それを緩やかに曲がった状態にしないと良くなりません。

もし、この方が頚椎が曲がっていることが原因と考えて頚椎だけを治療をしていたら現在の様には良くなっていないかも知れませんね。

因みに、症状が改善しつつある現在も、頚椎は真っ直ぐのままで、それを治す必要はありません。

(注1)

https://ameblo.jp/nozomi-20200303/entry-12624093460.html

YOU TUBEでも肩こりについて解説しています。ぜひご覧ください。

(1) 【肩こり解消の治療】仙腸関節の機能障害が、肩周辺の関節の動きを悪くさせ、首や肩周辺の筋肉に異常な収縮を引き起こし、それが肩こりの原因と感じています。 – YouTube

(2) 【ストレートネック (スマホ首)からの肩こり・頭痛を取る。】在宅ワークやスマートフォンの長時間使用により、肩こり・頭痛がある方へ朗報です。 – YouTube

変形性股関節症の症例

今回は変形性股関節症の方の症例をご紹介します。

70代女性   

  初診時の症状  

ずっと前から右股関節の痛みで悩んでいます。
歩くと痛み、階段は避けてエレベーターやエスカレーターを探して移動しています。
痛みのために取れる姿勢に制限があり、杖を使って歩いています。
また、股関節が硬くなっていて曲げたり、胡座をかくような姿勢で動きの制限が強くみられます。
痛みは1日のなかでも変わり、気温や気圧といった天候の変化も影響します。

レントゲン写真の解説

右側(向かって左側)の股関節の軟骨がすり減って、隙間が無くなっています。

  AKA-博田法での治療経過  

治療を始めたばかりの頃は、治療効果がはっきりしませんでした。
治療を始めて2か月位すると、天気の変化による影響が減ってきたそうです。
また、半年位して、痛みが減ってきているのが自覚できるようになったとのことです。

その後、新型コロナウイルスの影響で治療が中断する時期がありましたが、最近では月に1~2回程度治療しています。
治療後は股関節の可動域がやや改善し、痛みは減って身体も軽くなるそうです。
体重も多めなので、無理をすると痛みが増しますが、新型コロナウイルスが落ち着いたらまた旅行に行きたいと思い治療を受けています。

  考察  

変形性股関節症は鎮痛剤やリハビリ等で痛みが治らないと、年齢によっては手術を勧められます。
手術では人工の股関節に置き換える人工股関節置換術が代表的です。
手術で楽になる方も多いため、手術は重要な選択肢の1つです。

しかし、手術をせずに痛みがコントロール出来れば、それに越したことはありません。

変形性股関節症の痛みはAKA-博田法で抑え込める症状の1つです。
手術をしない場合の選択肢の1つとしてAKA-博田法は良い方法だと考えます。
この病気の主な問題は以下の2つです。
①股関節の痛み
②軟骨の擦り減りに伴う股関節の硬さ

①の痛みはゼロにはなくなりませんが、治療により良くなることが期待出来ます。
②の硬くなった股関節は、痛くなる前の柔らかさには戻りませんが、若干柔らかくなる方がいらっしゃいます。

AKA-博田法で治療する場合、股関節にはあまり触れません。
変形性股関節症も、その痛みの原因は仙腸関節にあることが多いのです。
この方も仙腸関節を治療することで痛みが落ち着いてきています。

また、膝や股関節の痛みは運動量の他に体重が影響します。
体重が重いと負担が大きくなるため、痛みが再発しすい傾向にあります。

変形性股関節症の方は、AKA-博田法で治療すると痛みは軽減しますが、ゼロになるという訳ではありません。
しかし、治療で痛みを少ない状態に維持できると、変形の進行を比較的抑えることができます。
こうして、痛みをより少ない状態で維持することが治療の目標です。

これにより、歩行が楽になって行動範囲が広がる方が多くいらっしゃいます。

変形性股関節症の痛みでお困りの方は、手術をする前にAKA-博田法を試してみるのもよいでしょう。

★You Tubeでも変形性股関節症について解説しています。

(1) 【変形性股関節症】変形性股関節症で手術をしたくない、人工関節にしたくない方へ – YouTube

変形性膝関節症の方の症例

今回は変形性膝関節症の方の症例をご紹介します。

60代女性

  初診時の症状  

数年前から、右膝の痛みが続いています。
以前は職場まで片道20分の距離を歩いていましたが、現在は痛みのため電車通勤にしているそうです。
特に階段の昇降は辛く、駅ではエスカレーターやエレベーターが必要です。
前の病院で手術を勧められたこともあり、これ以上痛みが酷くなったら手術も必要なのか?と不安になったこともあるそうです。
御本人は健康のためにも膝の痛みを良くして、歩いて通勤したいと希望しています。

変形性膝関節症では、レントゲン写真を撮ると、軟骨がすり減って骨の隙間が狭くなり、膝の骨がトゲの様に変形しています。

  AKA-博田法による治療経過  

初回の治療で痛みが軽減したため、痛みの原因は膝の軟骨の擦り減りではなく、仙腸関節の機能障害と判断し治療を継続しました。
月に1~2回の頻度で治療したところ、半年位で痛みが少なくなり、階段の昇降も苦にならくなったそうです。
現在では、職場の行き帰りを歩いて出来る様になり、非常に助かっているそうです。
時々無理をすると痛くなるため、定期的にAKA-博田法を受診しています。

  考察  

変形膝関節症は膝の軟骨が擦り減って痛い病気として知られています。
治療では、まずその痛みが軟骨の擦り減りによるものか?
それとも、関節機能障害によるものか? をAKA-博田法により見極めます。
AKA-博田法で治療して痛みに変化が現れれば、その痛みは関節機能障害が原因です。
変形性膝関節症の痛みの原因で最も多いのは、仙腸関節の機能障害です。
しかし、関節機能障害が原因であっても、膝が変形したり固まったりしていると完治は難しいタイプになります。
そのため、治療をすることで痛みを少ない状態で抑え込み、日常生活を楽に過ごせることが目的になります。
無事痛みが良くなれば勿論手術は不要です。
この方も無理をすると痛くなるため、時々治療を受けることをオススメしています。

患者さんによっては、腰は痛くないけど膝だけが痛むという方もいらっしゃいます。
この様な方に膝の痛みの原因は仙腸関節にあるとお伝えしてもなかなかピンとこないようです。
しかし、仙腸関節の機能障害を治療すると、膝の痛みが良くなることは多いのです。

これまで、膝に湿布や注射、痛み止め等で良くなっていない方は、仙腸関節の機能障害を診てみると良いでしょう。

肩こり

肩こり

2019年、厚生労働省発表の国民生活基礎調査によると、様々な身体の不調による症状のうち、女性で最も多い症状は肩こりです。男性の場合は、腰痛に次いで2番目に多い症状です。

<小林製薬 2016年 ビジネスマンの肩こり実態調査>(注1)では、
肩こりを訴えるビジネスマンを”肩コリーマン”と称して20~50代、合計412人のビジネスマンの意識、実態を調査しています。
これによると、肩こりを「全く感じていない」と回答したのは、わずか5.6%とかなり多くの方が肩こりを感じているようです。

肩こりだけでなく、首や目の症状や、30%前後の方は腰や背中にも症状があるそうです。

また、1週間のうちでも常に肩こりを感じる方が31.9%もいるのです。
この調査によると、最も酷くなるのは、木曜日の16~17時だそうです。
これだけ多くの方がお困りの肩こりですが、その治療については、
7割以上の方が自分の肩こりケアに満足していないそうです。

このように、肩こりもまた国民病といえるでしょう。

整形外科へ行くと、まずレントゲンを撮り、重大な病気が隠れていないかを確認します。

異常が指摘される場合、高齢者では頸椎が変形している変形性頸椎症、若い方だと頸椎が真っ直ぐになっているストレートネックと言われる方が多いようです。

なかには異常が見つからず、なで肩や筋力不足、運動不足を指摘されることもあります。

治療はリハビリや体操を勧められたり、筋肉を緩める薬が処方されたりします。

いずれにせよ、こっている筋肉を緩めることを目的にします。

一方で、肩こりは病気と考えず、病院には行かない方も少なくありません。

マッサージや整体、鍼治療などを受けている方、ご自分でストレッチ体操などをしたり、お風呂にゆっくり入ったりすることで対処している方もいらっしゃるようです。

腰や膝、股関節の痛みが高齢者に多いのに対し、肩こりは若い年齢層の方にも多く見られるのも特徴です。

すでにお悩みの方はお分かりの通り、肩こりは肩周辺の筋肉の異常な収縮を「肩こり」として感じています。

そのため、多くの対処法はそれを緩める方法です。

これらの方法で良くなっていれば良いでしょう。

しかし、この調査にもあるように、7割以上の方が肩こりのケアに満足していなのも事実です。

その理由として、一旦治ってもすぐこってしまうため(45.5%)が挙げられています。

望クリニックが専門で行っているAKA-博田法でも、肩こりは首や肩の周囲にある筋肉が異常に収縮して硬くなった状態と考えます。

他の治療方法と異なるのは、何が原因で首肩の筋肉は硬くなっているか?です。

AKA-博田法では、仙腸関節の動きが悪くなったり炎症を起こしたりしたこと(これを関節機能障害という(注2))で、首や肩の周りの筋肉が異常に収縮していると考えます。仙腸関節が機能障害を起こすことで、腰の周囲から出た筋肉を伝わり、首や肩にも筋肉の収縮。。。。

つまり、首や肩のこりの根本の原因は仙腸関節にあるという考えです。

肩こりに悩む患者さんに、「こりの原因は仙腸関節の機能障害です」とお話ししても、仙腸関節と肩こりが関係あるとは思えずなかなか信じて頂けません。

しかし、仙腸関節の機能障害をしっかり治療したうえで、首や肩の関節を治療すると、首肩周囲だけを治療するより良くなることが多いのです。

なかには、仙腸関節を治療すると、肩周囲は治療しなくても、こりが良くなることもあります。

では、変形性頸椎症やストレートネックといわれた方の場合はどうでしょう?

これらが肩こりの本当の原因であれば、治ることはないでしょう。なぜなら、頸椎の変形や真っ直ぐになった頸椎が治ることは無いためです。

しかし、私の経験では、これらがこりの原因であることはほぼありません。

変形性頸椎症やストレートネックと診断された方も、AKA-博田法で治療すると、頸椎の形はそのままでもこりは多くの方は良くなるためです。

首や肩こりがなかなか治らずに、お困り方は、より根本的な原因である仙腸関節から治療してみるのも良いでしょう。

(注1)詳しくは↓をご覧下さい。

https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2016/160623_02/index.html

(注2)関節機能障害については7月9日のブログ↓、関節機能障害について をご覧下さい。

https://ameblo.jp/nozomi-20200303/entry-12609834473.html

腰椎すべり症

腰椎すべり症

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は腰椎すべり症についてお話し致します。

腰椎すべり症とは、上下に連なる腰椎が前後左右(主に前方)にズレることにより、背骨のなかを通る神経を圧迫して様々な症状を起こす病気です。

整形外科では足腰に痛みや痺れがあり、レントゲンやMRIで腰椎がズレていたり、神経を圧迫している画像を認めると、腰椎すべり症と診断します。腰椎のズレはレントゲンで把握できますが、神経の圧迫を見るにはMRIが必要です。

症状が脊柱管狭窄症と似ていることも特徴です。 

薬やリハビリ等で良くならないと手術を勧められることもあります。

手術は神経の圧迫を取り除き、腰椎がズレないように安定させるのが目的です。

また、腰椎がズレていることを問題とし、腹筋を鍛えるトレーニングやストレッチを勧めるところもあるようです。

望クリニックにいらっしゃる患者さんは、すでにMRIを撮っている方、手術を勧められている方、手術をしたのに痛みや痺れが良くなっていない方等、さまざまです。

治療では、前の病院で腰椎すべり症と診断されていても、「本当にすべり症が痛みや痺れの原因なのか?」という点から診ていきます。

これは、レントゲンやMRIですべり症が見つかっても、それが痛みや痺れの原因と判断するのは不十分な為です。

ここで、すべり症とレントゲンやMRIについて、多くの患者さんがご存知ない事実をお伝えします(これは前回のブログで取り上げた脊柱管狭窄症や、椎間板ヘルニア、分離症と考え方は同じです)。

①腰椎がズレていても、痛みや痺れがない方はたくさんいます(←コレ重要です!)

②いわゆる腰椎すべり症のような痛みや痺れがあっても、MRIを見ると異常が見つからないことがあります。

③手術でズレているところを治しても、痛みや痺れが良くなっていないケースが数多くあります。

つまり、痛みや痺れが強くてMRIにすべり症が写っても、それが痛みや痺れの原因とは言い切れないのです。

では、腰椎すべり症でなければ何が痛みや痺れの本当の原因か?

一般的な整形外科ではあまり知られていませんが、腰椎すべり症と同じような症状の病気に、関節機能障害があります。

(*関節機能障害については、2020年7月9日のブログをご覧下さい。)

私は腰椎すべり症が原因と診断された患者さんのなかに、本当は関節機能障害が原因の方が多く含まれていると考えています。

MRIを見てすべり症と診断された方でも、関節機能障害を治療すると痛みや痺れが良くなる患者さんが数多くいらっしゃるためです。

関節機能障害を治療しても、ズレている腰椎の位置が戻ることはありません。

痛みや痺れがよくなった後も、腰椎のズレはそのままなので、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であったと診断できます。

一方、関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。

すべり症が原因か? それとも関節機能障害が原因か? を見極めるには、関節機能障害を治療することが必要です。

関節機能障害が原因であれば、手術でズレている腰椎を元に戻しても、痛みや痺れはよくなりません。関節機能障害の治療が必要です。

これに対して、すべり症が原因の場合は手術が必要なこともあるでしょう。

では、なぜ整形外科では関節機能障害ではなく、腰椎すべり症と診断するのでしょう?

まず、関節機能障害という病気は比較的新しい考え方の為、一般的な整形外科ではまだあまり知られていません。

すべり症はレントゲンやMRIを見れば分かるのに対し、関節機能障害は目で見ることができず、見極めるには熟練した技術が必要です。

また、診断には関節機能障害を治療する必要があります。しかし、一般的な整形外科にはこの手段がありません。

そのため、本来は関節機能障害に該当する患者さんも腰椎すべり症と診断されているのです。

望クリニックでは、すべり症か関節機能障害かの診断と治療を兼ねて、AKA-博田法を行なっています。

AKA-博田法で一定期間治療することで症状が改善すれば、その症状はすべり症とは関係なく関節機能障害が原因であると診断出来るのです。この場合、腰椎のズレは痛みや痺れとは関係がないため治す必要はありません。

          

私の経験では、腰椎すべり症と診断される足腰の痛みや痺れのなかで最も多いのは、関節機能障害によるものです。

60代、男性、すべり症と診断された方のMRI:

     

AKA-博田法で治療した結果、時々無理をすると痛みが出るものの、日常生活は問題なく、過ごせるようになりました。

解説:良い時も無理をして痛みが出る時も滑っている状態は同じです。ということは、滑っているのは痛みと無関係と考えられます。こういったケースがとても多いのです。

特に、以下のような傾向がある場合は関節機能障害が疑われます。

・症状の程度や部位が日時により変わる。

・疲れると症状が酷くなる。

・風呂などで温めると緩和する。

なかなか治らずにお困りの方は、AKA-博田法を受診してみるのも良いでしょう。

腰椎すべり症で手術を勧められている方へ:その痛みや痺れの原因は関節機能障害が原因の可能性があります。手術の前にAKA-博田法を受診することをオススメいたします。AKA-博田法で良くなり、手術をせずに済むことが多々あります。

腰椎すべり症の手術をしたけど、良くなっていない方へ:手術をしても良くならないと、他に何をすべきか分からずにあきらめてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、手術をしても良くならない場合、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であった可能性があります。

AKA-博田法を受診してみると良いでしょう。

☆AKA‐博田法で関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。この場合、当院では手術も視野に入れ、手術実績の豊富な病院を紹介しています。

☆特に、排尿障害を呈する場合は、AKA-博田法ではなく手術が適応なことがあります。