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股関節臼蓋(キュウガイ)形成不全の痛みについて

こんにちは、AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は成人の臼蓋形成不全についてお話し致します。

「股関節臼蓋形成不全(以下、臼蓋形成不全)」は、股関節の骨盤側の臼蓋という部分が正常に発達せず、浅いままになっている病気です。

股関節に痛みを感じ、レントゲンでこれが見つかると、臼蓋形成不全が痛みの原因といわれます。

主な自覚症状は股関節やその周囲の痛みと動きの制限です。

左側(スマホでは上側)のレントゲン写真が正常な股関節。右側(スマホでは下側)は臼蓋形成不全のレントゲン写真です。

正常な股関節のレントゲン写真
臼蓋形成不全のレントゲン写真

右側(下側)のレントゲン写真の方が、股関節を覆う(臼蓋)部分が浅くなっています。これは、手術をしない限り、浅い臼蓋部分が深くなることはありません。

そのため、一般的な整形外科では、浅い股関節を支える為に、股関節周囲の筋力トレーニング、硬くなった股関節を柔らかくする目的でストレッチ体操を勧めます。

・臼蓋形成不全が痛みの原因とは限らない

AKA-博田法の考え方は、一般的な整形外科とは異なります。

まず、臼蓋形成不全があり股関節が痛くても、必ずしも痛みの原因とは限りません。

例えば、ある50代介護職の男性は、学生時代に陸上の選手で現在も関節痛はありません。

しかし、最近内科でレントゲンを撮ったところ、たまたま臼蓋形成不全がみつかったのです。

この方のように臼蓋形成不全があっても何ともない方がいらっしゃいます。

・痛みの本当の原因は?

AKA-博田法では、臼蓋形成不全の痛みの多くは、仙腸関節の機能障害が原因と考えます。

仙腸関節の動きが悪くなったことで、股関節やその周囲に痛みが起きているのです。

痛みを治すという意味では、AKA-博田法がその力を発揮出来る疾患と言えるでしょう。

・痛みが出たらなるべく早くAKA-博田法を!

臼蓋形成不全は、やがて変形性股関節症へ進行する可能性があります。

そうなると、AKA-博田法で治療しても完治は難しくなります。

臼蓋形成不全といわれ、痛みや硬さを感じたら、なるべく早目にAKA-博田法を受診してみると良いでしょう。

記事執筆責任者-AKA-博田法指導医住田憲祐(医師)
https://sugamo-ekimae-cl.com/blog/wp-admin/post.php?post=350&action=edit#site-title-pseudo-li

変形性股関節症の症例

今回は変形性股関節症の方の症例をご紹介します。

70代女性   

  初診時の症状  

ずっと前から右股関節の痛みで悩んでいます。
歩くと痛み、階段は避けてエレベーターやエスカレーターを探して移動しています。
痛みのために取れる姿勢に制限があり、杖を使って歩いています。
また、股関節が硬くなっていて曲げたり、胡座をかくような姿勢で動きの制限が強くみられます。
痛みは1日のなかでも変わり、気温や気圧といった天候の変化も影響します。

レントゲン写真の解説

右側(向かって左側)の股関節の軟骨がすり減って、隙間が無くなっています。

  AKA-博田法での治療経過  

治療を始めたばかりの頃は、治療効果がはっきりしませんでした。
治療を始めて2か月位すると、天気の変化による影響が減ってきたそうです。
また、半年位して、痛みが減ってきているのが自覚できるようになったとのことです。

その後、新型コロナウイルスの影響で治療が中断する時期がありましたが、最近では月に1~2回程度治療しています。
治療後は股関節の可動域がやや改善し、痛みは減って身体も軽くなるそうです。
体重も多めなので、無理をすると痛みが増しますが、新型コロナウイルスが落ち着いたらまた旅行に行きたいと思い治療を受けています。

  考察  

変形性股関節症は鎮痛剤やリハビリ等で痛みが治らないと、年齢によっては手術を勧められます。
手術では人工の股関節に置き換える人工股関節置換術が代表的です。
手術で楽になる方も多いため、手術は重要な選択肢の1つです。

しかし、手術をせずに痛みがコントロール出来れば、それに越したことはありません。

変形性股関節症の痛みはAKA-博田法で抑え込める症状の1つです。
手術をしない場合の選択肢の1つとしてAKA-博田法は良い方法だと考えます。
この病気の主な問題は以下の2つです。
①股関節の痛み
②軟骨の擦り減りに伴う股関節の硬さ

①の痛みはゼロにはなくなりませんが、治療により良くなることが期待出来ます。
②の硬くなった股関節は、痛くなる前の柔らかさには戻りませんが、若干柔らかくなる方がいらっしゃいます。

AKA-博田法で治療する場合、股関節にはあまり触れません。
変形性股関節症も、その痛みの原因は仙腸関節にあることが多いのです。
この方も仙腸関節を治療することで痛みが落ち着いてきています。

また、膝や股関節の痛みは運動量の他に体重が影響します。
体重が重いと負担が大きくなるため、痛みが再発しすい傾向にあります。

変形性股関節症の方は、AKA-博田法で治療すると痛みは軽減しますが、ゼロになるという訳ではありません。
しかし、治療で痛みを少ない状態に維持できると、変形の進行を比較的抑えることができます。
こうして、痛みをより少ない状態で維持することが治療の目標です。

これにより、歩行が楽になって行動範囲が広がる方が多くいらっしゃいます。

変形性股関節症の痛みでお困りの方は、手術をする前にAKA-博田法を試してみるのもよいでしょう。

★You Tubeでも変形性股関節症について解説しています。

(1) 【変形性股関節症】変形性股関節症で手術をしたくない、人工関節にしたくない方へ – YouTube

変形性股関節症とAKA-博田法

変形性股関節症と整形外科で診断されて、望クリニックにAKA-博田法を受けに来ている方も非常に多いです。

患者さんの希望はだいたい以下にまとめられます。

①股関節の痛みを取りたい。

②股関節の変形が進行を抑えたい。将来的に手術になるのを防ぎたい。

③股関節の可動域を良くしたい

④変形をなおしたい。

①~④の全てをAKA-博田法により改善できれば良いのですが、

期待できること、できないことがあります。

分類すると次のようになります。

期待できること

①股関節の痛みをとりたい

②股関節の変形が進行するのを抑えたい。将来的に手術になるのを防ぎたい。

場合によっては、期待できるかもしれないこと

③股関節の可動域を良くしたい

期待できないこと

④股関節の変形をなおしたい。

個々について、もう少し詳しく説明させていただきます。

①の股関節の痛み

これについては、月に1,2回程度の頻度でAKA-博田法を3~6か月間程度行うと改善していく方が多いようです。ただし、どの程度よくなるかは股関節の変形の度合いに左右されます。

②股関節の変形が進行するのを抑えたい。将来的に手術になるのを防ぎたい。

これについては、AKA-博田法で股関節の痛みが改善されると、変形の進行が抑えられる方が多いようです。ただし、股関節の変形がある程度進んできている方は月に1,2回程度の定期的なAKA-博田法による治療が必要になってくる事が多いです。現在、望クリニックにはおよそ200人程度の変形性股関節症の方が手術になるのを防ぐ為に通院されております。

③股関節の可動域を良くしたい。

これについては、AKA-博田法を行う事により、股関節の可動域はある程度は改善し、歩行もよくなる事が多いです。ただし股関節の変形そのものは残りますので。変形が進行している方は、どうしても改善が困難になってきます。

④股関節の変形をなおしたい

これについては、AKA-博田法を受けても変形が治るという事はありません。そもそも、変形が治るという治療法は私の知る限りありません。

以上が変形性股関節症の方がAKA-博田法を受ける事で期待できること、期待できないことになります。

他によくある質問として

AKA-博田法を受ける事でどれくらいの割合で股関節の痛みが良くなるのですか?どれくらいのはやさでよくなるのですか?という事も聞かれます。

ただ、これに対する答えは非常に難しいです。なぜなら、股関節の変形の進行度により治療の難易度が変わってくるからです。

当たり前ですが股関節の変形が少ない方は、治りやすいですし、変形が進行してしまっている方は治りにくいです。

最後に私が変形性股関節症の患者さんをAKA-博田法で治療する際にお伝えしている内容がありますので記載いたします。

AKA-博田法が、変形性股関節症で困っている患者さんにとって有効かどうかを見極めるのに必要な治療回数はまず5回程度だと私は考えております。

1、2回目から簡単に良くなってくるような患者さんはおおまかに全体の三分の一程度いらっしゃいますが、痛みが楽になるのに時間がかかる方もいらっしゃいます。

治るスピードは股関節の変形の度合いやその方の職業、生活習慣などが密接に関係しますので、様々です。

治っていくスピードが速い人、遅い人、色々な方がいらっしゃいますが、AKA-博田法で良くなっていく方の多くは、5回の治療の中で症状の変化を実感する方がほとんどです。

かなり股関節の変形が進行されてしまっている方の中に、AKA-博田法の効果がでるまで5回以上かかる場合もありますが、その場合の治療は通常より難しいと考えられます。

5回の治療の中で、もし症状が変化してきて、股関節の痛みが楽になっていると実感されるようであれば、AKA-博田法が治療法としてその方にあっていると考えられます。

その場合、痛みどめを服用しなくてもよくなる方も多いです。

残念ながら変形の進行そのものをよくする事はできませんが、多くの方にこれ以上に変形が進行するのを抑える効果が期待できます。

(※ただし変形がある進行している方に場合は、1月に1,2回程度の定期的な通院が必要になります。)

前回のブログで書かさせて頂いたように、現在の股関節の専門医は変形性股関節症という病気において、変形した股関節を手術で人工関節等に置き換えるという事を得意としており、手術にならないように進行を抑えていこうという事は不得意である事が多いようです。その為、変形性股関節症の患者さんは専門的なリハビリテーション(運動療法)を受けてない方が多いようです。

もし、変形性股関節症による痛みで困っていて、将来的に手術になりたくないと考えているのであれば、5回程度AKA-博田法を試してみるのは悪くない選択肢だと私は思います。

AKA-博田法は、股関節の痛みにも効果があります

色々と忙しく、更新遅れて申し訳ありませんでした。

これまで腰痛の患者さんについて書いてきました 今回は 趣向を変えて 股関節の痛みについてです。

当院には、股関節の痛みで困っているという方もよくいらっしゃいます。

病名で多いのは、変形性股関節症、臼蓋形成不全あたりでしょうか。

整形外科では以下のような流れで治療を受けてくる方が多いようです。

①:股関節の痛みに対して、まず痛み止めなどの薬物療法や筋力トレーニング、ストレッチのような簡単なリハビリを勧められる。

②:①の治療で良くならない場合、手術を勧められる。

私が大学病院の整形外科に勤務していた時も概ねこのような治療でした。

それに対して私は、次のような疑問を持っていました

手術以外の治療は、痛み止めと簡単なリハビリだけでなくもっとしっかりやらないといけないのではないかという事

そもそも、なんでそんな簡単に手術を勧めるんだろうかという事です。

そんな事を疑問に思いながらも整形外科で研修していたのですが、ある時気づいたのです。

それは、股関節専門の医師は、股関節の手術が専門である。手術以外の治療を専門にする医師はほぼいない。股関節の有名な先生になればなるほど、手術に特化してくる。

ということです。

その為、股関節専門の外来では次のような会話が日常茶飯事です。

股関節の専門外来にて、医師に「手術しますか?」と言われ、それを断ると「手術する気になったらまた来てね」と言われ、痛み止めをもらって帰る。

このブログを読んでいる方にもこのような経験があるのではないでしょうか

また患者さんと医師の股関節の治療に対する、考え方にも温度差があると思ってます。

 患者さんの希望は、なるべく手術をしたくない。その為に、整形外科に通院するのですが治療をする整形外科医側は、股関節の患者さんは痛み止め等や簡単なリハビリで様子をみて、ダメなら手術すればいいや、という考えを持っている事が多い。

何となく股関節の痛みで困っている方は、似たような事は感じでいるのではないでしょうか

じゃあ手術になりたくない場合、股関節の治療をどうすればいいのかという事になると思います。

私は、整形外科が外来で簡単にすませるレベルでない、専門的な運動療法を受ける事が大事だと考えています。(運動療法を専門にするのは、リハビリ科の医師や理学療法士なので、そういう意味でも整形外科医に手術以外の治療法を希望するのはお門違いなのだと思います。)

股関節の痛みは、きちんとした運動療法を受ける事で改善される場合が多いと私は考えております。勿論、かなり進行した変形性股関節症の場合は、手術した方がよいという事もあります。しかし、そもそもそのような患者さんのほとんどが痛み止めだけの治療で、まともな運動療法を受けておりません。変形の初期段階できちんとした運動療法を受けていれば、股関節の変形の進行を抑えられたのではないかと考えられます。

では、運動療法は具体的に何を受ければいいのでしょうか。

運動療法には色々な方法がありますが、私は、AKA-博田法を専門にしておりますので選択肢の一つとしてAKA-博田法は非常に有効だと考えております。このブログでは、次回以降、股関節の痛みに対するAKA-博田法のメリット、デメリットについて書いていこうと思っております。

次回、変形性股関節症とAKA-博田法