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肩こりについて

女性の身体の訴えで最も多いのは、腰痛や膝痛ではなく肩こりです(平成28年国民生活基礎調査)。

一般的に肩と言われる部分がこる方、首がこる方、肩甲骨の間がこる方等々、その症状は様々です。

ひどくなると頭痛や嘔吐までしてしまう方もいらっしゃいます。

病院へ行くとレントゲンやMRIを撮ることがあります。

若い方では頸椎がまっすぐになっている「ストレートネック」、

何処も悪い所が見つからない「異常なし」、

なかには「なで肩」を指摘される方もいらっしゃいます。

中年以降では「頚椎の変形」や「ヘルニア」を指摘されることもあります。

確かにレントゲンやMRIには上記のような「形の異常」は写るのでしょう。しかし、私の経験ではそれらは肩こりの原因ではないことが多いのです。

そもそもAKA-博田法の視点でみると、肩こりの原因が肩自体にあることは少ないのです。

肩こりの根本原因として最も多いのは、骨盤にある仙腸関節の機能障害です。機能障害とは本来1~3ミリ動くべき仙腸関節が、硬くなったり炎症を起こしたりして、動きが悪くなっている状態です。

肩こりの原因が頚椎ではなく、骨盤の仙腸関節にあると言われると、違和感を覚える方もいるでしょう。

やや専門的なお話になりますが続けます。

仙腸関節が機能障害を起こすと、関節反射という特殊な反射が起こります。この反射により身体の様々な部位の筋肉や、靭帯等が硬く緊張します。この緊張を痛みやしびれ、こり等の症状として感じるのです。

そして、この緊張は首、肩、腰、股関節や膝、手足の先に至るまで、全身何処にでも起こり得ます。

一般的には個々人がよく使う部位、骨格の構造上負担のかかり易い部位、以前に傷めた部位などにみられる事が多いようです。

そのため、症状が人により異なるのです。

例えば、ここに腰が痛い方、膝が痛い方、肩こりの方が3人いたとします。

それぞれ症状は腰・膝・肩と部位は違いますが、それらの根本原因はいずれも仙腸関節の機能障害であることが多いのです。

肩こりの場合、肩の筋肉が過緊張がすることで、いわゆる肩こりとして感じるのです。

マッサージや鍼治療、ストレッチ体操などをすると肩こりが楽になるのは、この過緊張が一時的に緩むためです。

良くなった後にレントゲンやMRIを撮っても、ストレートネックやなで肩、ヘルニア、変形はそのままです。

この場合、これらは肩こりとは関係がなかったと考えます。

AKA-博田法は根本の原因である仙腸関節を治療することで、こりを治すだけではなく、こりが起こりにくい身体を目指します。

また、治療だけでなく予防もとても大切です。

コロナ騒動による急な在宅勤務で、パソコン作業が続き肩こりに困っている患者さんが増えています。

過度な肩こりに至らないためにも、こまめに姿勢を変えたり、前回セルフケアでお伝えした、前後屈体操をするように心掛けて下さい。勿論お風呂にゆっくり入って温めるのもオススメです!

痛みのセルフケアについて

こんにちは、望クリニック医師、住田憲祐です。

コロナウィルスの影響で、なかなか通院できない方も多いと思います。

そのような方に、仙腸関節の由来の腰痛みやしびれ、こり等を改善するためのセルフケアについてお話し致します。

私がお勧めしているのは次の4つです。

①無理をしない

②同じ姿勢は20-30分まで

③前後屈体操

④冷やさない

では、1つずつ解説していきます。

①無理をしない

当院では、痛みやしびれ、こり等を発症した状態を、その方にとって無理な状態と考えます。

患者さんによっては、「これをすると痛くなる」、「このぐらいやるとしびれてくる」と言うように、ご自身で傾向を把握してる方も多いでしょう。

症状がよりつらい時は、仙腸関節への負担が増していることが多いのです。これを我慢して無理を続けていると、なかなかよくなりません。負担が避けられないときは、より負担の少ない方法や加減をすることで対処しましょう。

最も仙腸関節への負担が少ないのは、左右いずれかのつらい方を上にして、横を向いて膝を曲げて寝ている姿勢です。就寝時はこの姿勢で休むようにして下さい。また、仰向けでないと眠れない方は、膝の下にタオルのようなものを丸めて入れるのも良いでしょう。治療を受けている期間は、ご自身の症状を観察しながら養生してください。

②同じ姿勢は20-30分まで

座位、立位にかかわらず仙腸関節には上半身の重さが加わり、それを筋肉が支えています。同じ姿勢を続けると同じ筋肉を使い続けることになります。一見楽に見える姿勢であっても、疲労が溜まります。それにより、上半身の重さを支えきれず、仙腸関節への負担が増し、痛みやしびれを発症します。これを防ぐためにも、20-30分同じ姿勢をしていたら姿勢を変えると良いでしょう。

③前後屈体操

仙腸関節は骨格の構造上負担のかかる関節です。整形外科の痛みやしびれという意味では弱点ともいえます。そのため、当院では仙腸関節に機能障害を起こさないために予防の体操をお勧めしております。

やり方は、立ったまま軽く前後に3回、前後屈をするだけです。

これにより、仙腸関節が少し動きます。強く行うと悪化することがあるため、軽く行うことが重要です。

またこの体操はこまめに行ってください。目安は20-30分に1回です。

わずか5秒でできる簡単なものです。良い方法なのでぜひ実践してみてください。

④冷やさない

患者さんの多くは、筋肉が硬く緊張してる状態を痛みやシビレなどの症状として感じています。

お風呂に入りよく温まると、症状が緩和する方がいらっしゃいます。これは温めたことで筋肉が一時的に緩んだためです。逆に、筋肉は冷えると緊張がより強くなる性質があります。つまり、仙腸関節が悪くなって起こる緊張に加えて、冷えて筋肉が緊張した分が割り増しになるのです。冬の寒さだけじゃなく夏の冷房など、お体を冷やさないように気をつけてください。

以上、仙腸関節由来の痛みやシビレ、コリを改善するためのセルフケアになります。

望クリニック 副院長 住田憲祐でした。

変形性股関節症とAKA-博田法

変形性股関節症と整形外科で診断されて、望クリニックにAKA-博田法を受けに来ている方も非常に多いです。

患者さんの希望はだいたい以下にまとめられます。

①股関節の痛みを取りたい。

②股関節の変形が進行を抑えたい。将来的に手術になるのを防ぎたい。

③股関節の可動域を良くしたい

④変形をなおしたい。

①~④の全てをAKA-博田法により改善できれば良いのですが、

期待できること、できないことがあります。

分類すると次のようになります。

期待できること

①股関節の痛みをとりたい

②股関節の変形が進行するのを抑えたい。将来的に手術になるのを防ぎたい。

場合によっては、期待できるかもしれないこと

③股関節の可動域を良くしたい

期待できないこと

④股関節の変形をなおしたい。

個々について、もう少し詳しく説明させていただきます。

①の股関節の痛み

これについては、月に1,2回程度の頻度でAKA-博田法を3~6か月間程度行うと改善していく方が多いようです。ただし、どの程度よくなるかは股関節の変形の度合いに左右されます。

②股関節の変形が進行するのを抑えたい。将来的に手術になるのを防ぎたい。

これについては、AKA-博田法で股関節の痛みが改善されると、変形の進行が抑えられる方が多いようです。ただし、股関節の変形がある程度進んできている方は月に1,2回程度の定期的なAKA-博田法による治療が必要になってくる事が多いです。現在、望クリニックにはおよそ200人程度の変形性股関節症の方が手術になるのを防ぐ為に通院されております。

③股関節の可動域を良くしたい。

これについては、AKA-博田法を行う事により、股関節の可動域はある程度は改善し、歩行もよくなる事が多いです。ただし股関節の変形そのものは残りますので。変形が進行している方は、どうしても改善が困難になってきます。

④股関節の変形をなおしたい

これについては、AKA-博田法を受けても変形が治るという事はありません。そもそも、変形が治るという治療法は私の知る限りありません。

以上が変形性股関節症の方がAKA-博田法を受ける事で期待できること、期待できないことになります。

他によくある質問として

AKA-博田法を受ける事でどれくらいの割合で股関節の痛みが良くなるのですか?どれくらいのはやさでよくなるのですか?という事も聞かれます。

ただ、これに対する答えは非常に難しいです。なぜなら、股関節の変形の進行度により治療の難易度が変わってくるからです。

当たり前ですが股関節の変形が少ない方は、治りやすいですし、変形が進行してしまっている方は治りにくいです。

最後に私が変形性股関節症の患者さんをAKA-博田法で治療する際にお伝えしている内容がありますので記載いたします。

AKA-博田法が、変形性股関節症で困っている患者さんにとって有効かどうかを見極めるのに必要な治療回数はまず5回程度だと私は考えております。

1、2回目から簡単に良くなってくるような患者さんはおおまかに全体の三分の一程度いらっしゃいますが、痛みが楽になるのに時間がかかる方もいらっしゃいます。

治るスピードは股関節の変形の度合いやその方の職業、生活習慣などが密接に関係しますので、様々です。

治っていくスピードが速い人、遅い人、色々な方がいらっしゃいますが、AKA-博田法で良くなっていく方の多くは、5回の治療の中で症状の変化を実感する方がほとんどです。

かなり股関節の変形が進行されてしまっている方の中に、AKA-博田法の効果がでるまで5回以上かかる場合もありますが、その場合の治療は通常より難しいと考えられます。

5回の治療の中で、もし症状が変化してきて、股関節の痛みが楽になっていると実感されるようであれば、AKA-博田法が治療法としてその方にあっていると考えられます。

その場合、痛みどめを服用しなくてもよくなる方も多いです。

残念ながら変形の進行そのものをよくする事はできませんが、多くの方にこれ以上に変形が進行するのを抑える効果が期待できます。

(※ただし変形がある進行している方に場合は、1月に1,2回程度の定期的な通院が必要になります。)

前回のブログで書かさせて頂いたように、現在の股関節の専門医は変形性股関節症という病気において、変形した股関節を手術で人工関節等に置き換えるという事を得意としており、手術にならないように進行を抑えていこうという事は不得意である事が多いようです。その為、変形性股関節症の患者さんは専門的なリハビリテーション(運動療法)を受けてない方が多いようです。

もし、変形性股関節症による痛みで困っていて、将来的に手術になりたくないと考えているのであれば、5回程度AKA-博田法を試してみるのは悪くない選択肢だと私は思います。