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「痛みや痺れをコントロールする」という考え方

こんにちは、望クリニック副院長・AKA‐博田法指導医の住田憲祐です。

「歳だから仕方ない」

時々患者さんから聞く言葉です。

医師から言われたという患者さんもいらっしゃいます。

この言葉には「あきらめましょう」というニュアンスが含まれています。

言われた時は、きっとガッカリしたことでしょう。

では、本当にあきらめなければならないのでしょうか?

たしかに、頭髪が白くなったり、皮膚の皺が増えたりする様に、関節も老化します。

一般的には、40歳を過ぎると関節も老化が始まると言われています。

つまり、関節の軟骨がすり減り硬くなってくるのです。

そのため、若い頃と比べると、御高齢の方は痛くなりやすく、治りにくくなります。

しかし、年齢だけで痛くなるわけではなく、ちゃんと良くなる方もいらっしゃいます。

また、治療すると楽にはなっても再発を繰り返し、完全には治りきらない方もいらっしゃいます。

関節が原因であっても、元の若い頃のように滑らかに動く関節には戻りきらないのです。

では、完治しなければ治療の意味がないかと言うと、そうではありません。

定期的に治療を続けることで「関節のお手入れ」が出来ます。

コレにより、痛みを少ない状態で保てたり、さらに悪化することを防ぐことが出来ます。

例えば、治療をして今の痛みが3分の1になったとします。

痛みは減っても完全には治っていません。

しかし、日々の動作は以前より楽になったと感じられるでしょう。

痛みの為にほとんど歩けなかった方が、治療して大分楽になり、旅行できたというケースはしばしばあります。

完治はしていないが、前よりいろんなことができるようになっているのです。

完治を目指して治療をしていくことは当然です。しかし、それが難しい場合もあります。

この場合、時々治療をすることで、手術をすることなく、自分の骨で生活出来たり、痛みを少ない状態に抑え込み趣味等を楽しむことが出来たりします。

「治る」「治らない」という考え方以外に、「痛みや痺れをより少ない状態でコントロールする」という考え方も取り入れて頂けたらと思います。

間欠性跛行について

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

みなさんは間欠性跛行という症状をご存知ですか?

歩くと足腰に痛みや痺れが起こり、少し休憩すると回復してまた歩ける。歩行時にこれを繰り返すという症状を間欠性跛行といいます。

整形外科の病気では、腰部脊柱管狭窄症(以下、狭窄症)や腰椎スベリ症(以下、スベリ症)で見られる症状です。

間欠性跛行は、1度に歩ける距離に個人差があります。
10m位で痛みや痺れを感じる方から20分位までなら大丈夫な方まで様々です。
また、1回に休む時間も、1度前屈みになれば回復する方から数分の休憩が必要な方までいらっしゃいます。

一般的な整形外科では、間欠性跛行があり、MRIで脊柱管が狭くなっていると狭窄症、腰椎がズレているとスベリ症と診断されます。

狭窄症は老化により背骨の神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫する病気です。

スベリ症は何らかの原因により腰椎がズレてその中を通る神経を圧迫する病気です。

どちらも神経が障害されて痛みや痺れを感じていると考えられています。

整形外科へ行くと、最初のうちは症状を抑えるための薬が出されます。
それで改善すればよいのですが、良くならないと最終的には手術をすすめられることがあります。狭窄症では狭くなった脊柱管を広げ、スベリ症であればズレた腰椎を元の位置に戻します。

しかし、その前に重要なのは、本当に神経が障害されていることが原因か?ということです。

間欠性跛行は狭窄症やスベリ症の特徴的な症状とされているため、MRIで神経が圧迫された様に写ると、そのように診断されることがあります。
しかし、無症状でもMRIを撮ると狭窄していたり、腰椎がすべっている方はたくさんいらっしゃいます。

このことから、私は間欠性跛行の原因は、主に以下の2つがあると考えています。
①狭窄症やスベリ症のような神経の障害によるもの  

②仙腸関節の機能障害によるもの

                               
しかし、②の関節機能障害という考え方はまだ新しい考え方で、整形外科の医師でも知らない方が多数います。
そのため、本当は②関節機能障害が原因のものも、①の神経の障害として手術してしまうことがあります。

もし、間欠性跛行の原因が関節機能障害の場合、手術で脊柱管を広げたり、腰椎のズレを治しても良くなりません。

私は①か②の見極めにAKA-博田法を受診することをおすすめします。
なぜなら、間欠性跛行に悩む患者さんの原因は①よりも②の方の方がずっと多いためです。

そして、AKA-博田法で症状が楽になれば、その間欠性跛行は関節機能障害が原因です。
この場合、AKA-博田法で治療を続けると、さらに良くなることが期待出来ます。

しかし、一定期間AKA-博田法で治療しても間欠性跛行が改善しない場合は、狭窄症やすべり症が原因となっている可能性があるため、手術等の治療をおすすめします。
望クリニックでも、年間で数人程度、手術や再検査をおすすめすることがあります。

間欠性跛行があり、狭窄症やすべり症と診断され手術をすすめられても、手術の前にAKA-博田法で再診断すると良いでしょう。

最後に、間欠性跛行があり、①と診断されて手術をしても良くならなかった方の場合、間欠性跛行は②関節機能障害が原因であった可能性があります。

「手術で治らなかったから…」とあきらめるのではなく、AKA‐博田法で再診断してみるのもいいではないでしょうか。

痺れについて

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は痺れについてお話し致します。

      「ビリビリ」「ピリピリ」

      「ジリジリ」「ジンジン」

      「ちょっと感覚が鈍い」

      「皮膚が厚ぼったい感じ」

                        等々

痺れの症状は、患者さんによりその感じ方や表現の仕方は異なります。

整形外科の医師も、痺れは神経が障害されて起こると考えがちです。

痺れの表現の仕方がいかにも神経に障っている感じがするのも、そう思わせるのかも知れません。

痛みでは病院へ行かない患者さんも、痺れが出ると不安になり病院へ行くようです。

痺れで診断される主な整形外科の病気は以下の通りです。

<上半身>

変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、胸郭出口症候群、頸肩腕症候群、肘部管症候群、手根管症候群、等。

<下半身>

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症・すべり症、変形性腰椎症、坐骨神経痛、モートン病、等。

しかし、これらの病名と診断された痺れは、本当に神経の障害なのか?というと必ずしもそうではありません。

AKA-博田法を専門に行っている望クリニックでは、これらの整形外科疾患の痺れの原因を、更に以下の2つにわけて考えます。

①背骨や椎間板、靭帯などの異常により本当に神経を障害しているもの

②仙腸関節を始めとする関節の機能障害によるもの

(※少数ですが、①②以外に血流の問題や自律神経の失調、精神的な要因で痺れを訴える方もいらっしゃいます)

一般的な整形外科では、レントゲンやMRI等の検査で「異常」が見つかると、その部分を治療します。

例えば、手術やブロック注射がそうです。

たしかにそれで良くなれば、①の神経の障害が原因であると言えると思います。

しかし、問題は手術をしてもよくなっていない方や、手術が必要と言われた方、あるいは「異常」はないと言われた方です。

その様な方の中には、②の仙腸関節をはじめとする関節の機能障害によるものが原因である方が少なくありません。

関節の機能障害を診断するために、AKA-博田法は良い方法です。

治療は手足の痺れに対しても、骨盤にある仙腸関節から行います。

仙腸関節の機能障害を正すと、首や腰は勿論、手足の痺れが良くなることは多いのです。

良くなった痺れは、MRIの異常に関わらず②が原因です。

特に痺れが手足の場合、その原因が仙腸関節の機能障害と言っても、患者さんはなかなかピンと来ません。

一般的な考え方とは大きく違うのに加え、骨盤にある仙腸関節と手足のシビレに関係があるとは思わないためです。

しかし、実際に仙腸関節を治療してみると良くなることは多いのです。

手術が必要と言われた痺れがAKA-博田法で良くなれば、その痺れは仙腸関節の機能障害が原因です。

この場合、手術をしても痺れは良くなりません。

逆に、AKA-博田法で治療しても良くならない場合は①が原因の可能性があります。

その場合、再度精密検査や手術ををお勧めしております。

痺れは神経が原因と診断された方、

手術を考えている方、

手術をしたけれども痺れは良くなっていない方、

AKA-博田法で痺れの原因について、再診断してみるのも良いのではないでしょうか。