月別アーカイブ: 2020年9月

変形性膝関節症の方の症例

今回は変形性膝関節症の方の症例をご紹介します。

60代女性

  初診時の症状  

数年前から、右膝の痛みが続いています。
以前は職場まで片道20分の距離を歩いていましたが、現在は痛みのため電車通勤にしているそうです。
特に階段の昇降は辛く、駅ではエスカレーターやエレベーターが必要です。
前の病院で手術を勧められたこともあり、これ以上痛みが酷くなったら手術も必要なのか?と不安になったこともあるそうです。
御本人は健康のためにも膝の痛みを良くして、歩いて通勤したいと希望しています。

変形性膝関節症では、レントゲン写真を撮ると、軟骨がすり減って骨の隙間が狭くなり、膝の骨がトゲの様に変形しています。

  AKA-博田法による治療経過  

初回の治療で痛みが軽減したため、痛みの原因は膝の軟骨の擦り減りではなく、仙腸関節の機能障害と判断し治療を継続しました。
月に1~2回の頻度で治療したところ、半年位で痛みが少なくなり、階段の昇降も苦にならくなったそうです。
現在では、職場の行き帰りを歩いて出来る様になり、非常に助かっているそうです。
時々無理をすると痛くなるため、定期的にAKA-博田法を受診しています。

  考察  

変形膝関節症は膝の軟骨が擦り減って痛い病気として知られています。
治療では、まずその痛みが軟骨の擦り減りによるものか?
それとも、関節機能障害によるものか? をAKA-博田法により見極めます。
AKA-博田法で治療して痛みに変化が現れれば、その痛みは関節機能障害が原因です。
変形性膝関節症の痛みの原因で最も多いのは、仙腸関節の機能障害です。
しかし、関節機能障害が原因であっても、膝が変形したり固まったりしていると完治は難しいタイプになります。
そのため、治療をすることで痛みを少ない状態で抑え込み、日常生活を楽に過ごせることが目的になります。
無事痛みが良くなれば勿論手術は不要です。
この方も無理をすると痛くなるため、時々治療を受けることをオススメしています。

患者さんによっては、腰は痛くないけど膝だけが痛むという方もいらっしゃいます。
この様な方に膝の痛みの原因は仙腸関節にあるとお伝えしてもなかなかピンとこないようです。
しかし、仙腸関節の機能障害を治療すると、膝の痛みが良くなることは多いのです。

これまで、膝に湿布や注射、痛み止め等で良くなっていない方は、仙腸関節の機能障害を診てみると良いでしょう。

肩こり

肩こり

2019年、厚生労働省発表の国民生活基礎調査によると、様々な身体の不調による症状のうち、女性で最も多い症状は肩こりです。男性の場合は、腰痛に次いで2番目に多い症状です。

<小林製薬 2016年 ビジネスマンの肩こり実態調査>(注1)では、
肩こりを訴えるビジネスマンを”肩コリーマン”と称して20~50代、合計412人のビジネスマンの意識、実態を調査しています。
これによると、肩こりを「全く感じていない」と回答したのは、わずか5.6%とかなり多くの方が肩こりを感じているようです。

肩こりだけでなく、首や目の症状や、30%前後の方は腰や背中にも症状があるそうです。

また、1週間のうちでも常に肩こりを感じる方が31.9%もいるのです。
この調査によると、最も酷くなるのは、木曜日の16~17時だそうです。
これだけ多くの方がお困りの肩こりですが、その治療については、
7割以上の方が自分の肩こりケアに満足していないそうです。

このように、肩こりもまた国民病といえるでしょう。

整形外科へ行くと、まずレントゲンを撮り、重大な病気が隠れていないかを確認します。

異常が指摘される場合、高齢者では頸椎が変形している変形性頸椎症、若い方だと頸椎が真っ直ぐになっているストレートネックと言われる方が多いようです。

なかには異常が見つからず、なで肩や筋力不足、運動不足を指摘されることもあります。

治療はリハビリや体操を勧められたり、筋肉を緩める薬が処方されたりします。

いずれにせよ、こっている筋肉を緩めることを目的にします。

一方で、肩こりは病気と考えず、病院には行かない方も少なくありません。

マッサージや整体、鍼治療などを受けている方、ご自分でストレッチ体操などをしたり、お風呂にゆっくり入ったりすることで対処している方もいらっしゃるようです。

腰や膝、股関節の痛みが高齢者に多いのに対し、肩こりは若い年齢層の方にも多く見られるのも特徴です。

すでにお悩みの方はお分かりの通り、肩こりは肩周辺の筋肉の異常な収縮を「肩こり」として感じています。

そのため、多くの対処法はそれを緩める方法です。

これらの方法で良くなっていれば良いでしょう。

しかし、この調査にもあるように、7割以上の方が肩こりのケアに満足していなのも事実です。

その理由として、一旦治ってもすぐこってしまうため(45.5%)が挙げられています。

望クリニックが専門で行っているAKA-博田法でも、肩こりは首や肩の周囲にある筋肉が異常に収縮して硬くなった状態と考えます。

他の治療方法と異なるのは、何が原因で首肩の筋肉は硬くなっているか?です。

AKA-博田法では、仙腸関節の動きが悪くなったり炎症を起こしたりしたこと(これを関節機能障害という(注2))で、首や肩の周りの筋肉が異常に収縮していると考えます。仙腸関節が機能障害を起こすことで、腰の周囲から出た筋肉を伝わり、首や肩にも筋肉の収縮。。。。

つまり、首や肩のこりの根本の原因は仙腸関節にあるという考えです。

肩こりに悩む患者さんに、「こりの原因は仙腸関節の機能障害です」とお話ししても、仙腸関節と肩こりが関係あるとは思えずなかなか信じて頂けません。

しかし、仙腸関節の機能障害をしっかり治療したうえで、首や肩の関節を治療すると、首肩周囲だけを治療するより良くなることが多いのです。

なかには、仙腸関節を治療すると、肩周囲は治療しなくても、こりが良くなることもあります。

では、変形性頸椎症やストレートネックといわれた方の場合はどうでしょう?

これらが肩こりの本当の原因であれば、治ることはないでしょう。なぜなら、頸椎の変形や真っ直ぐになった頸椎が治ることは無いためです。

しかし、私の経験では、これらがこりの原因であることはほぼありません。

変形性頸椎症やストレートネックと診断された方も、AKA-博田法で治療すると、頸椎の形はそのままでもこりは多くの方は良くなるためです。

首や肩こりがなかなか治らずに、お困り方は、より根本的な原因である仙腸関節から治療してみるのも良いでしょう。

(注1)詳しくは↓をご覧下さい。

https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2016/160623_02/index.html

(注2)関節機能障害については7月9日のブログ↓、関節機能障害について をご覧下さい。

https://ameblo.jp/nozomi-20200303/entry-12609834473.html

腰椎すべり症

腰椎すべり症

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は腰椎すべり症についてお話し致します。

腰椎すべり症とは、上下に連なる腰椎が前後左右(主に前方)にズレることにより、背骨のなかを通る神経を圧迫して様々な症状を起こす病気です。

整形外科では足腰に痛みや痺れがあり、レントゲンやMRIで腰椎がズレていたり、神経を圧迫している画像を認めると、腰椎すべり症と診断します。腰椎のズレはレントゲンで把握できますが、神経の圧迫を見るにはMRIが必要です。

症状が脊柱管狭窄症と似ていることも特徴です。 

薬やリハビリ等で良くならないと手術を勧められることもあります。

手術は神経の圧迫を取り除き、腰椎がズレないように安定させるのが目的です。

また、腰椎がズレていることを問題とし、腹筋を鍛えるトレーニングやストレッチを勧めるところもあるようです。

望クリニックにいらっしゃる患者さんは、すでにMRIを撮っている方、手術を勧められている方、手術をしたのに痛みや痺れが良くなっていない方等、さまざまです。

治療では、前の病院で腰椎すべり症と診断されていても、「本当にすべり症が痛みや痺れの原因なのか?」という点から診ていきます。

これは、レントゲンやMRIですべり症が見つかっても、それが痛みや痺れの原因と判断するのは不十分な為です。

ここで、すべり症とレントゲンやMRIについて、多くの患者さんがご存知ない事実をお伝えします(これは前回のブログで取り上げた脊柱管狭窄症や、椎間板ヘルニア、分離症と考え方は同じです)。

①腰椎がズレていても、痛みや痺れがない方はたくさんいます(←コレ重要です!)

②いわゆる腰椎すべり症のような痛みや痺れがあっても、MRIを見ると異常が見つからないことがあります。

③手術でズレているところを治しても、痛みや痺れが良くなっていないケースが数多くあります。

つまり、痛みや痺れが強くてMRIにすべり症が写っても、それが痛みや痺れの原因とは言い切れないのです。

では、腰椎すべり症でなければ何が痛みや痺れの本当の原因か?

一般的な整形外科ではあまり知られていませんが、腰椎すべり症と同じような症状の病気に、関節機能障害があります。

(*関節機能障害については、2020年7月9日のブログをご覧下さい。)

私は腰椎すべり症が原因と診断された患者さんのなかに、本当は関節機能障害が原因の方が多く含まれていると考えています。

MRIを見てすべり症と診断された方でも、関節機能障害を治療すると痛みや痺れが良くなる患者さんが数多くいらっしゃるためです。

関節機能障害を治療しても、ズレている腰椎の位置が戻ることはありません。

痛みや痺れがよくなった後も、腰椎のズレはそのままなので、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であったと診断できます。

一方、関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。

すべり症が原因か? それとも関節機能障害が原因か? を見極めるには、関節機能障害を治療することが必要です。

関節機能障害が原因であれば、手術でズレている腰椎を元に戻しても、痛みや痺れはよくなりません。関節機能障害の治療が必要です。

これに対して、すべり症が原因の場合は手術が必要なこともあるでしょう。

では、なぜ整形外科では関節機能障害ではなく、腰椎すべり症と診断するのでしょう?

まず、関節機能障害という病気は比較的新しい考え方の為、一般的な整形外科ではまだあまり知られていません。

すべり症はレントゲンやMRIを見れば分かるのに対し、関節機能障害は目で見ることができず、見極めるには熟練した技術が必要です。

また、診断には関節機能障害を治療する必要があります。しかし、一般的な整形外科にはこの手段がありません。

そのため、本来は関節機能障害に該当する患者さんも腰椎すべり症と診断されているのです。

望クリニックでは、すべり症か関節機能障害かの診断と治療を兼ねて、AKA-博田法を行なっています。

AKA-博田法で一定期間治療することで症状が改善すれば、その症状はすべり症とは関係なく関節機能障害が原因であると診断出来るのです。この場合、腰椎のズレは痛みや痺れとは関係がないため治す必要はありません。

          

私の経験では、腰椎すべり症と診断される足腰の痛みや痺れのなかで最も多いのは、関節機能障害によるものです。

60代、男性、すべり症と診断された方のMRI:

     

AKA-博田法で治療した結果、時々無理をすると痛みが出るものの、日常生活は問題なく、過ごせるようになりました。

解説:良い時も無理をして痛みが出る時も滑っている状態は同じです。ということは、滑っているのは痛みと無関係と考えられます。こういったケースがとても多いのです。

特に、以下のような傾向がある場合は関節機能障害が疑われます。

・症状の程度や部位が日時により変わる。

・疲れると症状が酷くなる。

・風呂などで温めると緩和する。

なかなか治らずにお困りの方は、AKA-博田法を受診してみるのも良いでしょう。

腰椎すべり症で手術を勧められている方へ:その痛みや痺れの原因は関節機能障害が原因の可能性があります。手術の前にAKA-博田法を受診することをオススメいたします。AKA-博田法で良くなり、手術をせずに済むことが多々あります。

腰椎すべり症の手術をしたけど、良くなっていない方へ:手術をしても良くならないと、他に何をすべきか分からずにあきらめてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、手術をしても良くならない場合、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であった可能性があります。

AKA-博田法を受診してみると良いでしょう。

☆AKA‐博田法で関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。この場合、当院では手術も視野に入れ、手術実績の豊富な病院を紹介しています。

☆特に、排尿障害を呈する場合は、AKA-博田法ではなく手術が適応なことがあります。