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仙腸関節と身体各部の痛み(関連痛)の関係について

以前のブログで、身体各部の痛みや痺れは仙腸関節の異常が原因となっていることがある

と書きました(このような痛みを関連痛という)。

関連痛という痛みをご存知ですか? | 望クリニック (ameblo.jp)

ブログを読まれた患者様からは、「内容が分かりにくい」というご指摘を頂きました。

AKA-博田法を理解して頂くうえで大切な考え方なので、改めてご説明致します。

腰と離れた部位の痛みや痺れが、仙腸関節が原因という考え方にピンと来ないのではないかと思います。

一般の整形外科でもその様に考えないため、患者さんが信じられないのは当然と言えるでしょう。

AKA-博田法で治療する関節機能障害とは、関節の中の微細な動き(これを関節包内運動という)が悪くなっている状態を指します。これは仙腸関節だけでなく、背骨や手足等あちこちの関節に起こります。

そして、痛みや痺れ、こり等の症状は、関節機能障害の起こっている部位の周囲に発症します。

それ故、AKA-博田法では、痛む部位の関節に触れて治療することもあります。

 より根本の原因から治療する 

しかし、ここで重要なことがあります。

例えば、腰痛はなくて手足が痛い方が、腰痛はないので手足の関節の機能障害だけを治療したとします。

この場合、手足の関節を1つずつ治療しても、肝心の痛みはあまり良くなりません。

仮に、一時的に関節の動きが良くなり、痛みが改善しても、少し時間が経つと再発してしまうことが多いのです。

一方で、まず仙腸関節を治療すると、手足の関節を触らなくても、手足の関節機能障害は解消され痛みが良くなることがあります。

また、仙腸関節を治療した後に症状が残る場合、手足の関節機能障害の治療を加えると、より痛みが改善することがあります。

仙腸関節の機能障害が、他の部位の関節機能障害を引き起こし痛みを発症するため、仙腸関節から治療することにより、他の部位の関節機能障害は治りやすくなります。

つまり、手足の関節機能障害による痛みの原因は、仙腸関節の機能障害であるという場合が多いのです。

これを、仙腸関節原性の関連痛と言います。

 身体の仕組みがそうなっている 

仙腸関節の機能障害が他の関節の機能障害を起こすのは、関節反射という身体の反射の仕組みによるものです。

他の病気でも、個々の症状(この場合、手足の痛み)に対応するのだけではなく、症状を起こしている病気の原因そのもの(この場合、仙腸関節の機能障害)を治すことが治癒に繋がります。

手足の関節の痛みは仙腸関節の機能障害による関連痛のため、根本から治すために仙腸関節から治療することが有効なのです。

私達が仙腸関節の治療にこだわるのはそのためです。

関連痛という痛みをご存知ですか?

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は、ちょっと聞き慣れない言葉、「関連痛」についてお話し致します。

痛む部位に原因があるとは限らない
例えば、狭心症という心臓の病気があります。
この病気では、奥歯やのど、肩腕、みぞおち、背中など心臓と離れた部位に痛みを感じることがあります。

これを狭心症による関連痛と言います。
他にも、胆嚢炎で右肩周囲に痛みが出ることもあります。
このように、関連痛とはその原因と離れた部位に発症する痛みのことを指します。

同様に、腰痛の多くが仙腸関節の機能障害による関連痛です。
そして、腰痛については、患者さんにも比較的ご納得頂けます。

しかし、首や肩、手足の指の痛みまで仙腸関節が原因で起こる関連痛といっても、なかなか信じて頂けません。
それは、手足のように仙腸関節と離れた部位にまで影響があるとは思わないためです。

一般的な整形外科は、手足の痛みや痺れは、頚椎や腰椎の神経が原因と考えることがあります(コレはコレで問題があるのですが…)。しかし、それ以外の多くは痛みを感じている部位に問題があると考えがちです。

意外に多い!仙腸関節の関連痛
ある患者さんは、AKA-博田法で仙腸関節の機能障害を治療したところ、外反母趾の痛みが良くなりました。
その痛みは仙腸関節の機能障害による関連痛であったということです。
そして、痛みが良くなった後も外反母趾の変形はそのままのため、変形は痛みの直接の原因でなかったといえます。
同様に、手の腱鞘炎の痛み、指先に起こるへバーデン結節の痛み、足底筋膜炎、アキレス腱炎、昔捻挫した部位の痛みのように、おおよそ仙腸関節が原因とは思えないような痛みも、実は仙腸関節の機能障害による関連痛であることが多いのです。

この考え方は一般的な整形外科とは異なりますが、私達がその様な患者さんを治して来たのも事実です。

一般的な整形外科での治療で良くなれば、正しい診断・治療がなされたので問題はありません。
しかし、良くなっていない場合、仙腸関節の機能障害による関連痛の可能性を考えてみるのも良いでしょう。