腰椎すべり症

腰椎すべり症

こんにちは、望クリニック副院長・AKA-博田法指導医の住田憲祐です。

今回は腰椎すべり症についてお話し致します。

腰椎すべり症とは、上下に連なる腰椎が前後左右(主に前方)にズレることにより、背骨のなかを通る神経を圧迫して様々な症状を起こす病気です。

整形外科では足腰に痛みや痺れがあり、レントゲンやMRIで腰椎がズレていたり、神経を圧迫している画像を認めると、腰椎すべり症と診断します。腰椎のズレはレントゲンで把握できますが、神経の圧迫を見るにはMRIが必要です。

症状が脊柱管狭窄症と似ていることも特徴です。 

薬やリハビリ等で良くならないと手術を勧められることもあります。

手術は神経の圧迫を取り除き、腰椎がズレないように安定させるのが目的です。

また、腰椎がズレていることを問題とし、腹筋を鍛えるトレーニングやストレッチを勧めるところもあるようです。

望クリニックにいらっしゃる患者さんは、すでにMRIを撮っている方、手術を勧められている方、手術をしたのに痛みや痺れが良くなっていない方等、さまざまです。

治療では、前の病院で腰椎すべり症と診断されていても、「本当にすべり症が痛みや痺れの原因なのか?」という点から診ていきます。

これは、レントゲンやMRIですべり症が見つかっても、それが痛みや痺れの原因と判断するのは不十分な為です。

ここで、すべり症とレントゲンやMRIについて、多くの患者さんがご存知ない事実をお伝えします(これは前回のブログで取り上げた脊柱管狭窄症や、椎間板ヘルニア、分離症と考え方は同じです)。

①腰椎がズレていても、痛みや痺れがない方はたくさんいます(←コレ重要です!)

②いわゆる腰椎すべり症のような痛みや痺れがあっても、MRIを見ると異常が見つからないことがあります。

③手術でズレているところを治しても、痛みや痺れが良くなっていないケースが数多くあります。

つまり、痛みや痺れが強くてMRIにすべり症が写っても、それが痛みや痺れの原因とは言い切れないのです。

では、腰椎すべり症でなければ何が痛みや痺れの本当の原因か?

一般的な整形外科ではあまり知られていませんが、腰椎すべり症と同じような症状の病気に、関節機能障害があります。

(*関節機能障害については、2020年7月9日のブログをご覧下さい。)

私は腰椎すべり症が原因と診断された患者さんのなかに、本当は関節機能障害が原因の方が多く含まれていると考えています。

MRIを見てすべり症と診断された方でも、関節機能障害を治療すると痛みや痺れが良くなる患者さんが数多くいらっしゃるためです。

関節機能障害を治療しても、ズレている腰椎の位置が戻ることはありません。

痛みや痺れがよくなった後も、腰椎のズレはそのままなので、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であったと診断できます。

一方、関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。

すべり症が原因か? それとも関節機能障害が原因か? を見極めるには、関節機能障害を治療することが必要です。

関節機能障害が原因であれば、手術でズレている腰椎を元に戻しても、痛みや痺れはよくなりません。関節機能障害の治療が必要です。

これに対して、すべり症が原因の場合は手術が必要なこともあるでしょう。

では、なぜ整形外科では関節機能障害ではなく、腰椎すべり症と診断するのでしょう?

まず、関節機能障害という病気は比較的新しい考え方の為、一般的な整形外科ではまだあまり知られていません。

すべり症はレントゲンやMRIを見れば分かるのに対し、関節機能障害は目で見ることができず、見極めるには熟練した技術が必要です。

また、診断には関節機能障害を治療する必要があります。しかし、一般的な整形外科にはこの手段がありません。

そのため、本来は関節機能障害に該当する患者さんも腰椎すべり症と診断されているのです。

望クリニックでは、すべり症か関節機能障害かの診断と治療を兼ねて、AKA-博田法を行なっています。

AKA-博田法で一定期間治療することで症状が改善すれば、その症状はすべり症とは関係なく関節機能障害が原因であると診断出来るのです。この場合、腰椎のズレは痛みや痺れとは関係がないため治す必要はありません。

          

私の経験では、腰椎すべり症と診断される足腰の痛みや痺れのなかで最も多いのは、関節機能障害によるものです。

60代、男性、すべり症と診断された方のMRI:

     

AKA-博田法で治療した結果、時々無理をすると痛みが出るものの、日常生活は問題なく、過ごせるようになりました。

解説:良い時も無理をして痛みが出る時も滑っている状態は同じです。ということは、滑っているのは痛みと無関係と考えられます。こういったケースがとても多いのです。

特に、以下のような傾向がある場合は関節機能障害が疑われます。

・症状の程度や部位が日時により変わる。

・疲れると症状が酷くなる。

・風呂などで温めると緩和する。

なかなか治らずにお困りの方は、AKA-博田法を受診してみるのも良いでしょう。

腰椎すべり症で手術を勧められている方へ:その痛みや痺れの原因は関節機能障害が原因の可能性があります。手術の前にAKA-博田法を受診することをオススメいたします。AKA-博田法で良くなり、手術をせずに済むことが多々あります。

腰椎すべり症の手術をしたけど、良くなっていない方へ:手術をしても良くならないと、他に何をすべきか分からずにあきらめてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、手術をしても良くならない場合、痛みや痺れの原因はすべり症ではなく、関節機能障害であった可能性があります。

AKA-博田法を受診してみると良いでしょう。

☆AKA‐博田法で関節機能障害を治療しても痛みや痺れが改善しない場合は、本当にすべり症が原因のことがあります。この場合、当院では手術も視野に入れ、手術実績の豊富な病院を紹介しています。

☆特に、排尿障害を呈する場合は、AKA-博田法ではなく手術が適応なことがあります。